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044.【業界の話】フリーライダーの居場所

»2012年11月20日
IT雑貨屋、日々のつづり

044.【業界の話】フリーライダーの居場所

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

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 こんにちは。
 佐藤@IT雑貨屋です。

 ここ最近、急に寒くなってきましたね。
 我が家では猫を飼っているのですが、昨日は夜中に私の布団の中にもぐりこんできて、朝方まで一緒に寝ていました。

 さて今回は「業界の話」として「フリーライダー」の事について書きたいと思います。

 皆さんは「フリーライダー」という言葉を聞いた事がありますか?

 簡単に言えば、会社の売り上げに貢献する事の無い社員の事を言います。

 一般的にエンジニアの単価というと「人月単価」になりますが、最近では単価の下落著しいのは以前のブログの記事にも少し書かせてもらいました。

 自社のプロダクト(商品)を持ち、そのプロダクトの販売で事業を行っている会社であれば、そのプロダクトの販売数やメンテナンスにかかる内容で、この単価は変化しますが、一般的な人材派遣をおこなっている場合には、今時の相場は1月50万~60万程度のレベルとなっています。

 この単金を収入としてエンジニア派遣を行っている会社は事業を行いますが、この単価で会社が赤字になるか黒字になるか。これは会社ごとに異なります。

 会社には経理や事務を行う人が必要になりますが、こういった業種というのは所謂「内勤」で、簡単に言うならば外からお金を持ってくる立場ではありません。しかし会社として運営する上、様々な事務処理や経理を行うために必要になってきますので、こういった人件費は会社としては必要な人件費として計上する必要はあります。

 また派遣業を主たる業務にする場合、「空き稼働」という事も考えなければなりません。この件は以前にも少し触れましたが、社員として雇用している場合、その要員の派遣先が決まらなくても、月給は支払う必要があるので、その分の人件費は確保しなくてはならないのです。

 そう考えると、会社としても一人60万円の売り上げがコンスタントで上がったとしても、余裕のある経営をする為には、「フリーライダー」の人件費は結構な負担になっていくはずです。

 まあ現場で実際に仕事をこなすメンバーであれば、それなりに売り上げに貢献しますが、マネージャーとか言う立場になると微妙です。

 今のこの業界では「プレイング・マネージャー」という言葉が当たり前になっています。これは何かというと、簡単に言えばマネージャーであっても自分自身の売り上げを上げながら(つまり仕事をしながら)社員の管理を行うという立場です。

 かくいう私自身も昨年までは、プレイングマネージャーでした。

 まあ簡単に言えば、大きな会社であればいざ知らず、中小規模のシステム会社では、単純に社員の売り上げの上に胡坐をかいている様なマネージャーというのは、負担以外の何者でも無いという事です。

 先日、あるソフト会社の中堅の従業員と話をする事がありました。

 その時、そのメンバーの年収を聞いたら約340万円程度と聞きました。ちなみにその会社に派遣先から支払われている金額は約60万円/月です。これは経験数年の中堅であれば、まあ最近では標準的な金額だと思いました。

 しかしその会社の設定単価は72万/月だそうで、そこから見るとそのメンバーは人件費割れで、今後の昇給を望めないばかりか、このままの場合にはリストラ対象になってしまうという事でした。

 何故、そこの会社の単価設定が高いのか?

 会社の状況をよく効いてみると、その会社には担当部長が一人内勤でいるそうですが、その人の年収はそれなりに確保されているようです。また空き稼働設定も余裕を見ているらしく、その事から一人ひとりの単価を高めに設定している様です。

 この会社の受注体系では。単価を高めに設定しても今まで部長の人件費や空き稼働の分も補填できたのでしょうが、どうやら昨今、会社の置かれる状況というのは、どうやら単価は下落を始めているようでした。

 そうであれば、社内の役割分担を切り替えて、より多くの仕事を取る努力をすべきではないのかな・・・僕はそう思えてなりません。

 聞くところでは部長は派遣要員の稼働管理を主に行っているくらいで、自分の仕事(売り上げに直結する仕事)は取り組んでいないようです。要は多くの社員の売り上げの上に胡坐をかいているのでしょうね。

 以前ならばいざ知らず、ここ最近のシステム会社(特に中小規模)では、フリーライダー上司のいる場所というのは、少なくなってきていると思えます。

 しかし寂しい話ですね。

20121118.jpg 今から二十年以上前には、フリーライダーでも会社の中には居場所を確保する事ができたのですが、ここ最近の企業には、こういったフリーライダーを雇用する余裕がなくなっているんですから。。。。
 そこの会社も、発注元の状況や会社の取引先の状況を、よく分析して単価設定等を考えないと、経営も成り立たなくなるであろうし、社員のモチベーションも向上しなくなってしまうのではないかと危惧してしまいました。

 まあ余計なお世話かもしれませんが。。。。
 ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
 これからもIT雑貨屋をよろしくお願いします。