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フリーライターで食べるには?
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
前回の「フリーライターは食えるのか?」という記事は、タイトルが刺激的で内容がぶっちゃけだったからでしょう、僕の記事にしては珍しくたくさんのツイートがつきました。
ツイートを拝見していて、まじめに的確なことをつぶやいておられる方が多く、同じようなことを考えている人が多いんだなと感じ、僕としてはとても力強い思いをしました。
ただ、「それをこれから書こうと思っていたんですよ、実は」という気持ちも同時に湧いてきて、でも、それはつぶやいている人の問題ではなく、僕の言葉足らずだったと反省し、みっともないことですが加筆もさせてもらいました。
前置きが長いと帰っちゃう人も多いと思いますので、そろそろ本題へ。
◆ライターは専門職
まず議論の出発点として、「職業としてのライター」とは何かということを、僕なりに定義しておきます。
僕は、ライターは専門職だと思っています。「文章を書くプロ」ということですね。必ずしも文章がうまくなくてもいいのですが、「文章化ということに専門性があり、その専門性に対価を払う人がいる」ということが職業ライターの定義です。
ここが食い違ってしまうと、まったく話がかみ合わなくなるので、強調させてください。僕は能力としてのライターではなく、職業としてのライターの話をしています。コンサルタントでもライターとしての能力を持つ人はたくさんいますが、その人はやはりコンサルタントであり、ライターではないということです。コンサルタント以外の職業でも以下同文です(この辺もこれだけでは言葉足らずでしょうから、また改めて詳しく書きたいと思っています)。
そういう意味では、カメラマンが一番近いかなと思っています。
文章とカメラは似ていて、誰でも成果物や作品を作ることができます。しかし、それを職業とする人はあまりいない。
さらに、どちらにも玄人はだしのハイアマチュアがいます。たとえば、僕の主戦場だったIT系の雑誌だと、寄稿者のほとんどはプロのライターではありません。会社員やコンサルタントが多い。文章力のない人もいるけれど、ほとんどはプロの文章と大差ありません(編集者が大変な思いをしているという噂もありますが)。カメラなどでも、撮影技術だけだったらプロと同等かプロ顔負けの人はたくさんいるように思います。
しかし、どちらも職業にする人は少ない。似ています。
まあ、どちらもあまり儲かりそうにないし、安定とは程遠い感じはします(実際そうですし)。なので、賢い人は別の仕事をして、文章やカメラは余技あるいは趣味に留めます。僕はその選択は正しいと思いつつ、ライターやカメラマンで食べて行こうとする人を仲間として応援したいと思うのみです。
なお、会社員のライターもいますが、ここではフリーライターを対象にします。また、会社員のライターは通常「記者」と呼ばれます(フリーでも「記者」をやることもあるので紛らわしいですが、そのときはその会社の名前で仕事をします)。
◆では、どうすれば食べられる?
しかし、それでもフリーライターになりたいという人を僕は止める気にはなれません。ただ、よく考えてからのほうがいいのは、何でも同じです。
そこで、どうやったら食べられそうか、表にまとめてみました(クリックすると拡大図が出ます)。右端の欄は、あくまで個人的意見なので、あまり目くじらを立てずに読んでいただけと幸いです。
「方法」欄に書いてあるのは、フリーライターが食べて行く方法です。関連するブログ記事やツイートも参考にしながら、だいたいこのぐらいに分類できるだろうと考えました。
各方法に関して、それぞれメリットとデメリットを考えてみました。どんな方法にもメリットはあり、デメリットもあります。その上で、「じゃあこの方法はどうなのよ」ということを、あくまで個人的な意見ではありますが、まとめてみました。
表の内容についても、この記事内で説明しようと思っていたのですが、1つの記事としては長くなり過ぎるようです。次回以降に続きを書いていきたいと思います。
なので、表の内容に対して、もしご意見があれば、そちらを見てからにしていただけるとお互い有益なのではないかと思います。
◆1つだけ・・・コピーライターではない
ところで、ツイートを拝見していて、1つだけ気になるつぶやきがありました。
要約すると、「ビジネスライターって何かと思い、森川のオフィシャルサイトを見に行ったら、なんのことはないコピーライターじゃないか」というものです。
僕のサイトを見て、そう見えたのであれば、それは僕の力不足ということであり、つぶやいた方を責める気は毛頭ありません。かえって、見直す機会をいただけてありがたいと思っています(本気で)。
しかしながら、違うものは違うので、ここで弁明しておきます。
コピーライターというのは、Wikipediaからの引用で恐縮ですが、以下のようなものです。
コピーライター (copywriter) とは、商品や企業を宣伝するため、新聞・雑誌・ポスターなどのグラフィック広告、テレビCM、ラジオCM、ウェブサイトやバナー広告などに使用する文言(コピー)を書くことを職業とする人のこと。
いわゆる「セールスライティング」(宣伝文書を書くこと)をする人のことで、その成果物をコピーという、とまとめておきましょう。
僕自身、コピーを書いたことはあります。ただし、僕は「ITブレークスルー」という屋号で自主開催セミナーや教材販売をしており、それらを宣伝するための文章を自分で書いているというだけなのです。
したがって、コピーで対価をいただいたことはありません(ゆえに職業ではありません)。
コピーライターは極めて専門性の高い職業であり、多くの人は専門教育を受けた上で、まず企業で働きます。そこからフリーになって成功する人は結構限られているようです(最近は最初からフリーを目指す人向けのセミナーなどもあるようですが)。
なので、僕がコピーライターなどと名乗ると、心あるコピーライターの方から抗議が来ると思うのです。
ただ、誤解されるのは仕方のない面もあり、僕のサイトには「会社や商品のPR用文書のライターをお求めの方はこちら」と書いてあります。
宣伝とPRの区別が難しいのは確かだと思います。特に、最近は宣伝に見えない宣伝が良しとされている傾向もありますから。
◆違いは成果指標
ただ、それでも成果物ははっきりと違いますし、それよりも求められる成果指標が全然違います。
コピーライターの成果指標は、売り上げです。これしかないと言っていいでしょう。どんなにセンスが良くても、売り上げにつながらないコピーばかり書いていたら首です。
なので、通常は複数のコピーを書き、小さなエリアでそれぞれをテストしてから、最終的なコピーを決めるというようなマーケティング手法も熟知し実施しています。
ビジネスライターはちょっと違うんですね。僕に仕事をくださる企業の担当者の最終的な成果指標は売り上げかもしれません。でも、僕に求められる指標は、もっと定性的なものだったり、間接的なものだったりします。
僕の書いたもので、営業しやすくなったとか、お客さんからいい会社ですねと言われたとか、社長が喜んでいるとか、コラムのアクセス数が増えたとか、そんなことが成果指標になり得ます。
あるいは、多少納期が無茶でも、それなりのものを出してくるとか。展示会に間に合うものを何とか用意できるなんていうことも担当者にとっては重要ですから。
要は、発注してくださる方が、仕事をしやすくなれば、あるいは社内で評価されれば、それでいいのです。
コピーライターのようなシビアさはありません。ただ、成果指標が不明確なので、いろいろと難しいこともあります(これは追々お話ししたいと思っています)。
こんなことは、こうやって書かないと分からないですよね?
で、こういったことを書いていきたいと思ったので、ブログタイトルを「ビジネスライターという仕事」にかえてもらった次第です。
だから「誤解」も、僕にとってはありがたい情報なのです。