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ライターはどうやって仕事をもらうのか?
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
前回、「フリーライターで食べるには?」と言う記事を書き、大げさな表までつけたのですが、「1つの記事としては長すぎる」という理由で、表の説明は割愛しました。
今回から1項目ずつ、関連する話を書いていきたいと思います。
今回とりあげるのは「仕事を選ばずに仕事を増やす」です。
▲クリックすると拡大図。この表の全体はこちらへ
僕が公開した雑誌やWebの原稿料は(森川実績ベースですが)、「安いなあ」とツイッターで評判でした。僕としては、雑誌やWebであれぐらい貰えれば十分なのですが(その理由は改めて書きます)、たしかに雑誌やWebだけで食べて行くのは、いかにも大変そうです。
この状況を打破するために最初に考えるのは、仕事量を増やすことです。駆け出しのときは安いのも仕方ない。そこで「仕事を選ばずに仕事を増やす」ことになるのが、(よほど華々しいデビューでもしない限りは)多くのライターが通る道といっていいでしょう。
でも、そもそも最初の仕事はどうやって取ればいいのでしょうか?
◆僕の場合
ちょっと寄り道しますので、早く知りたい方は「◆結局は紹介と応募」まで読み飛ばしてください。
僕が独立したのは2005年です。当初はライターではなく、ユーザー企業に常駐するITコンサルタントでした。
ただ、いずれは執筆で食べていければという気持ちもありました。
漠然と願っているだけで叶う希望ではありません。そういう気持ちがあると言うと背中を押してくれた人がいました。いきなり本を出せというのです。
雑誌での寄稿経験もないのに、いきなりハードルが高いなあと思いましたが、実はその人も本を出していて、企画書のひな形というのをくれました。
僕はあまり気乗りせずに企画書を書きました。その人の友人の出版プロデューサーにも見せたのですが反応が薄く、やっぱり自分に本なんか出せるわけないんだとあきらめようとしました。
ところが、捨てる神あれば拾う神あり。僕は当時mixiにハマっていたのですが、マイミクさんがあるバンドを紹介してくれました。ベテランミュージシャンが集まって、ジャズやゴスペルなどを聞かせてくれる大人のバンドです。
地域密着の地道な活動をしていました。ある日、三鷹の居酒屋でライブをやるというので見に行ったところ、バンドを紹介してくれたマイミクさんの紹介でマイミクになった人(ややこしくてすみません)も来ていました。
その人がフリーの編集者だと知り、「実は本を出したくて企画書を書いたんですよ」というと「よかったらメールで送ってくれ」と言うのです。
数日後、久しぶりに技術評論社に行くのだけど、例の企画書を持っていっていいかと聞いてきます。もちろん二つ返事でOKしました。
その後、大幅に書き直した結果その企画は通り、2008年4月に僕の処女作である『SEのための価値ある「仕事の設計」学』が上梓されたのでした。
◆本が出ても、注文がくるわけではない
当時はライターデビューと言うよりも、「コンサルタントの営業ツール」としてという気持ちのほうが強かったのですが、一方でこれでIT関連雑誌の寄稿や次の出版のオファーが殺到すれば、コンサルタントはやめて執筆一本でいけるかも、などという「とらたぬ」もしていました。
ところが、執筆の依頼など1件も来ません。完全にあてが外れてしまいました。
おまけに、この本を営業ツールにコンサルタントの仕事を取ろう(当時、常駐の仕事は辞めていました)と考えていたのですが、そちらもあてが外れました。
考えれば当たり前のことなのです。僕はITコンサルティングに関する本ではなく、SEのキャリアプランニングの本を書いたのです。それを読んでITコンサルティングの仕事を出そうなどという人はいないでしょう。でも、僕は本を出せば、仕事が来ると思い込んでいました。
いきなり、僕はどん底状態になってしまいました。
◆結局は紹介と応募
僕がなんとか生きながらえたのは、2つのきっかけがあったからです。
1つは、処女作の上梓以前から、事例ライターの仕事をしていたこと。
これは知人が事例ライターの募集を始めると聞いたので、応募したのでした。
知人の会社が企業から仕事をもらい、知人の会社の名刺で取材し執筆するという仕事です。業界特化はしていないのですが、IT企業からの仕事が多く、ITの事例を書けるライターがあまりいなかっため、結構仕事をもらうことができました。
最初に事例を書いた会社からは、今でもコラム執筆などの仕事を継続的にいただいています。事例の出来は、今思うと恥ずかしい限りですが、取材翌日に原稿を出したのが印象に残ったようです。
もう1つは、誠ブロガーである開米瑞浩さんから紹介をいただいたこと。
具体的には、日経SYSTEMS編集部とBizID(現・誠BizID)編集長に紹介してもらい、どちらから仕事をもらえました。この2つとも、今の僕の仕事のベースになっています。
あくまで僕の経験ですが、僕の知る限りでは、ほとんどのライターは、地道にライター募集に応募したり、知人の紹介で最初の仕事をもらっているようです。
◆最初は仕事を選ばずに
きっかけさえできれば、最初のうちは仕事を選ばず、多少安くても経験を積み人脈を広げることに注力すべきです。
僕もそうしてきましたが、昨日Facebookを見ていたら、友人のライターもそうしていたようです。名前を出さないでほしい(シェア禁止)と書いていたので、仮にAさんとしておきましょう。かなり有名なライターで、結構露出している人です。
デビュー当初の原稿料は、原稿用紙換算で1枚1000円だったそうです。実績を積むために1文字1円の仕事もやったそうです。
その後、地道に原稿料を上げ続け、今はクオリティーを下げないためにシビアに原稿料の交渉をしているとのことのようです。
駆け出しの時期は、量を書く時期が必要だと思います。僕が誠ブロガーの中で圧倒的な本数を書いているのは、「量稽古」だと思って、内容はともかく毎日書いていた時期があったからです。おかげで、ある水準を保ちながら速く書くということについてはできるようになりました。これは、ライターとしては大きな強みです。
また、編集者のいうことも素直に聞くべきでしょう。僕は編集者とは結構議論させてもらいましたが、自説を通すためではなく自分が納得するための議論であり、一度納得すればあとは編集者の指摘通りに書き直しました。
とはいえ、いつまでも「仕事を選ばずに仕事を増や」していたら、遊ぶ時間どころか寝る時間もなくなります。それでも書くのが好きという人にしかお勧めできません。
単価を上げる必要があります。それには、Aさんのように徐々に成果物のクオリティーと人気を上げて行く方法が1つ。これが王道でしょう。
しかし、ライターとしてAさんほどの才能がなければ、どうすればいいのでしょうか?
単価を上げるということに関する僕の考えは、次回書きます。