誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
要するに強みを活かせということ
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
4月からは、誠ブログが(新)オルタナティブ・ブログ統合されるということで、誠ブログへの投稿は最後になります。2010年の4月7日に1本目の記事を書いて以来、もう5年になるんですね。長い間ありがとうございました。
さて、フリーライターがどうやって食べていくんだという話題でしばらく書いてきました。あくまで1つの案ですが、「ビジネスライターというのはどうでしょう?」と提案するためにずっと書いてきたので、このタイミングにケリをつけておこうと思います。
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◆「ビジネスライター」とは?
オフィシャルHPを見てもコピーライターとしか思えないというご意見をいただき反省しまして、ビジネスライターとは何かということを現在ではトップページに記載しています。
やや抽象的かもしれません。「結局、何をしてんねん?」という質問に対しては、こんな感じです。
- 「お客様」は出版社よりも一般企業(出版社や広告代理店がエージェントになることはある)
- 「お客様」または「お客様のお客様」に取材をして、その企業のPRや社内の人材育成等に役に立つコンテンツを制作する(基本的には原稿までだが、写真撮影等もする)
以前、「フリーライターは食えるのか?」という記事で、出版社やWeb媒体の執筆料について書きました。それと比べると、一般企業からいただく報酬はかなり良いです。
◆ほかに人がいないから食える
「なあんだ」という人が多いと思うのですけど、僕は原稿料をもらう仕事を始めてから、ここに落ち着くまで約7年間試行錯誤したんです。
その歴史を書くと長くなるので、結論だけ書きます。
それは、「やりたいことよりできること」をやるのが一番ということです。
いや、単に「できる」だけじゃダメです。誰にもできることなら安くやるしかないからです。
「他にやれる人がいない」ことをやらないといけない。
「ビジネスライター」の定義は上の通りですが、僕の場合は対象業界をこちらでは決めていないにも関わらず、
エンタープライズ(企業向け)システムを構築・運用している企業
からの依頼がほとんどなのです。
この手の企業のビジネスや技術がよく分かっていて、しかも一般企業とも話ができるレベルのビジネス知識を持ち、そのうえフリーライターだという人間は、日本に数人しかいない――ようなのです、どうも。
ただ7年も試行錯誤したのは、その優位性にずっと気づいてこなかったわけです。
「バカなの?」と思うでしょうけど(まあその通りなんですけどw)、ずっと「やりたいことをやる」ということにこだわっていたんだと思います。それではどうしようもなくなって、「できること、しかも他の人にはできないことをやる」と覚悟を決めたら仕事が来るようになりました。
ということで、僕はいま「ITに強いビジネスライター」と名乗っていますが、それで食べられるのは、単にほかに同じような人が少ないということに尽きるのです。
◆15年以上会社員が務まったのなら
さて、僕は前掲の「フリーライターは食えるのか?」という記事で、「15年以上会社員が務まった人(あるいは務める自信のある人)なら持っているような能力」があれば、ビジネスライターとして食べられるだろうと書きました。
できれば業界がずっと同じというほうが有利とは思いますが、いろんな業界を経験したというのもやりようによっては強みになるかもしれません。
どちらにしろ15年以上ビジネスをやってきた人なら、絶対に得意分野があるはずです。その中から「できること、しかも他の人にはできないことをやる」を見つけ出せれば、ビジネスライターとして食べていける可能性は高いと思います。
◆地味だけどうれしいことが多い
で、なんで食べられるのに今までやってこなかったかということなのですが、とにかく地味な仕事なんですね。
たとえば導入事例の仕事がなどが一番多いのですが、まず無署名です。僕のオフィシャルサイトに実績を載せさせてくれる会社もあるのですが、事例に関しては2社だけです。
このような話ばっかりで「自己実現感」が薄い。有名になって印税生活なんてことはあり得ない世界です。
なので、先ほどのビジネスライターを説明した図に書いてあるような「使命感」や「理念」のようなものを明確に持たないと、モチベーションが続きません。
しかし、実際に仕事に打ち込めば、うれしいことが多いのです。
先日もあるシステム運用会社から指名で仕事をいただきました。出版社経由の仕事です。その出版社は、何人もIT関連のライターを紹介したのだそうです。
その中から僕を選んでくださったわけですが、「ITが分かるライターさんは何人もいるけれど、システム運用について分かるのは森川さんだけでした。引き受けてくださって、ありがとう!」と感謝されたりします。こういうことってなかなかないことだと思うんですね。
もちろん書いたあとも感謝していただくことが多いですし、何度も依頼をくださる会社の担当者様とは友達付き合いのような方もいます。
編集者とライターならそういうことも多いと思うのですが、一般企業の会社員とフリーランスでこういうのは珍しいように思います。
◆ではなぜ、普通の媒体にも書くのか?
しかし、僕は雑誌やWebなどにも署名入りの記事を書いています。これはなぜでしょうか?
基本的には、実績を増やすことで企業に対する信頼度を高めるのが目的です。ある意味PRのためなんですね。特にWeb媒体だと署名入りならSEO対策にもなります。
なので、原稿料は決して高くないということは書きましたが、不満に思ってはいません。お金をいただいた上、書いた記事が宣伝材料にもなるわけですから、本当にありがたいと思っています。
ただし、これ(↓)だけは趣味と実益を兼ねている、例外的な仕事です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/jagzy/20140626/267589/
◆何かのヒントになれば幸いです
他にできる人がほとんどいないことをやると、とても感謝され、それなりにお金をいただける。
そして、そのような分野はあなたにもきっとあるはずだと思うのです。
あればそれを活かせばいい。
別にフリーライターになる必要はありません。どちらかというとフリーライターのような一般には食えないだろうと思われている仕事でも、考え方次第で何とかなるもののなので、他の道だったらもっとなんとかなると思うのです。
「フリーライターは食えるのか?」以来、2カ月ちょっとにわたって書いてきたことが、あなたの人生の選択のヒントにでもなれば、これ以上の幸せはありません。
次回以降は、ビジネスライターとして見聞したことを(守秘義務契約に抵触しない範囲で)書いていきたいと思います。
これからもよろしくお願い申し上げます。