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いま企業経営者が絶対に読むべき本~ミドルマネジメントは読むべからず(一日一言 #83)

いま企業経営者が絶対に読むべき本~ミドルマネジメントは読むべからず(一日一言 #83)

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


モチベーションは金銭的報酬では得られない。返って下がることが多い。

●解説

『モチベーション3.0 持続する「やる気」をいかに引き出すか』(ダニエル・ピンク著、大前研一訳)という本を読んでいます。

「21世紀版『人を動かす』」という帯のコピーに惹かれたのが購入理由ですが、実際に読むと、その通りでもあるし、さらにドラッガーの『マネジメント』の補足版という感じさえします。はっきりと名著です。

アメとムチではうまくいかないし、成果主義評価でもうまくいかないと感じている経営者は多いでしょう。

これらについてはうまくいくはずがないと、心理学や社会学、あるいは脳科学の実験ではっきり結論が出ています。

学問の世界ではほぼ決着がついている(※)ことが、企業の現場ではまったく採用されていないことを著者のダニエル・ピンク氏は嘆いており、この本を書く動機になっているようです。

※もちろん、著書の論理に都合のいい実験結果が選ばれるのは世の常なので、慎重に見極める必要はあります。そうだとしても実際に企業の労務管理や人事評価制度には既に違和感を感じている人は多いでしょう。

誤解のないように書くと、基本的な報酬ラインが不適切だと、モチベーション自体が発生しません。人はそのことばかりが気になるからです(これは私の経験上、もらいすぎでもモチベーションがなくなります。適切であることが大切)。

その上で、金銭的インセンティブで人を働かそうとすると、返って危険だと同書では指摘しています。

また、目標を設定するのも、今度はモチベーションが湧かないだけでなく、倫理的に問題のある行動を助長することがあるので注意が必要だと指摘しています。

こうなると、フルコミッション営業や目標管理人事制度が危険ではないかと思われる方も多いのでは?

正解だと思います。はっきりと危険です。

経営者は、ぜひともこの本を一読ください。

それでも、アメとムチが自社に向いていると思う(※)のであれば、信じる道を行かれればよいと思います。それは、かなりか細い困難な道とは思いますが・・・。

※ルーチンワーク専門の会社であれば、基本的な報酬ラインが適切で公平という前提のもとで、アメとムチは有効のようです。ただし、このような会社は、オフショアで同様のサービスを提供する会社か同様の機能を持つ安価なソフトウェアとの競争に早晩さらされるはずです。

●裏解説

逆に、課長・部長などの中間管理職や主任・係長などチームリーダークラス(総称して、ミドルマネジメント)は、この本を読むべきではありません(ただし、人事・労務などのマネージャは除く)。

なぜなら、自分の会社に対する不平・不満・愚痴・悪口が言いたくて言いたくてしかたなくなるだろうと思うからです。

会社の人事労務制度なので、ミドルマネジメントにはいかんともしがたい問題です。経営者が変えてくれない限りは変わらない。

私は、貴社の社長が、今度人事制度をこれに基づいて変えたいんだけど・・・、と同書を持参して相談に来るまでは読むべきではないと、本気で思います。むなしくなるだけですから。

 

なお、高らかに宣言したいと思います。

私は、この本のおかげで拙著『奇跡の営業所』がさらに深く説明できるようになりました。そして、333営業塾のコンセプトはまったく間違っていないどころか、これから益々ニーズが高まっていくと確信しました。

会社を、自律した人材が熟達する喜びで発展させたいと考える経営者は、ぜひ333営業塾を知ってください。

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追記

モチベーションは金銭的報酬では得られない。返って下がることが多い――という考え方自体がまったく信じられないと言う人は、同書にもあった下記の事例について考えてみてください。

15年前(1995年当時)の経済学者に、下記の質問をしたら?

世界的大企業のマイクロソフトが、プロの執筆者に十分な報酬を払って書いてもらって、CD-ROMやオンラインで販売する百科事典と、何十万人もの人がまったく金銭的報酬をもらわずオンラインで無料公開する百科事典とでは15年後どちらが成功しているでしょうか?

当時のまじめな経済学者であれば、前者の成功を主張し、後者は一笑にふされたであろう。

(要約:森川)