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私はコンサルタントで本も書いていますが、先に気鋭の学者の書く本を読むことをお勧めしています(#135)
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目の前の人の人生に思いがいたるようになれば、成長がはじまる。
●解説
いま読んでいる『街場のメディア論』(内田樹、光文社新書)に、こう書いてありました。
教育の場に長くいた人間として、僕が経験的に言えることは、先ほども申し上げたように、人間の潜在能力は「他者からの要請」によって効果的に開花するものであり、自己利益を追求するとうまく発動しないということです。平たく言えば、「世のため、人のため」に仕事をするとどんどん才能が開花し、「自分ひとりのため」に仕事をしていると、あまりぱっとしたことは起こらない。
私は、実感として分かります。自分の生活をなんとかしたい、もっと売上を上げたいということをメインに、そのための手段としてお役立ちしますと言っていたころは、まったくパッとしませんでした。
その当時の借金(お金だけでなく)で、いまも苦しんでいます。目処はついてきましたが。
私が本当にお役立ちのほうをメインの目的にしようと考えたのも、学者が書いた本を読んでからです。
想像してほしい。利己的な奴が本当にスゴイ奴だなんてあり得るでしょうか?「感染」を引き起こせるでしょうか?あり得ない。周囲に「感染」を繰り広げる本当にスゴイ奴は、なぜか必ず利他的です。人間は、理由は分からないけれど、そういう人間にしか「感染」を起こさないのです。(宮台真司『日本の難点』)
私は、これを読んで、「感染」が起こせるなら、ビジネスなんて簡単だと思いました。そのために本気で利他的になりたいと思いました。
ただ、どうすれば利他的になれるのかが良くわからないでいたら、次も学者の書いた本で目を開かされました。
実はカーネギー自身も主張しているように、このうちでもっとも大切なのは最後の「自己の重要感」なのである。同書によれば、W・ジェームズも「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである」と述べている。
そう、人がもっとも望んでいるのは、「あなたはかけがえのない人ですよ」という一言なのである。(植島啓司『偶然のチカラ』)
そうか。目の前の人を「あなたはかけがえのない人」だと本気で思えれば、それでいいのか。目からウロコでした。
人間が一番してほしいことをすれば、ビジネスなんか簡単にうまくいくはずだし、これこそ利他的なことだと思いました。
それ以来、とにかく目の前の人をかけがえのない人だと思うことにしました。どんな人にも、ここに至るまでのかけがえのない人生があるはずだと思うと、いとおしささえこみ上げてきました。
そして、私のビジネスは大きく回復してきました。
●裏解説
学者は現場を知らないから、頭でっかちなことを言うと思うかもしれません。
私が見る限りでは、現場を知らないのは若造のコンサルタントであり、こういう人たちに多くの企業がムダ金を払っています。
そんな金があれば、真面目な若者を雇うほうがよっぽどいいのに・・・。
※そう思う経営者が一人でも増えて欲しいというのも、我々が美経倶楽部というコミュニティをはじめた理由です。
学者は、現場体験はないかもしれませんが、事例の収集と調査ということでは本当に真剣にやっています。
また元々頭がよいので分析がすばらしく、知識量が桁違いなのでハッとする視点も持っています。本質的なことを求める人たちなので、必ず本質的なことを書きます。小手先のことはあまり書きません(その辺が学者の書くものは役に立たないと誤解する人が多い一因かもしれません)。
感動の名著『日本でいちばん大切にしたい会社』もコンサルタントではなく、学者の書いた本です。
私は、(自分のことは棚に上げて)コンサルの書く本より学者の書く本を先に読めとよく言います。それは、こういう読書体験があったからです。
私が美経倶楽部をはじめようと考えたきっかけになった『美徳の経営』も、日本でトップクラスの学者である野中郁次郎先生が書いたものです。
学者をバカにしてはいけません。