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誰がイノベーションを起こすのか

誰がイノベーションを起こすのか

横山 哲也

グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverのすべてのバージョンを経験。趣味は写真(猫とライブ)。

当ブログ「仕事と生活と私――ITエンジニアの人生」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/yokoyamat/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


誠ブログを始めて半年ほど経つ。先日、ページビューを調べてみたら、新井素子の記事(SF小説『.....絶句』(新井素子)について)と占い師の記事(キャリア形成の秘密 ~あるOLがプロの占い師になるまで~)が断トツでアクセス数が多かった。

もうこのブログにIT系は不要なんじゃないかと思ったが、先週の記事「そろそろ寿命のPCのその後」は結構アクセスがあったので、幅広い話題でもうしばらく試行錯誤してみようと思う。

今回は、ITの話である。

 

●コンピュータの歴史

【1950年代後半から1960年代前半】

よく知られているように、コンピュータは軍事研究として始まった。世界最初に実用化された電子式計算機ENIACは、大砲の弾道計算が目的だった。暗号解読も、ロケットの打ち上げも、みんな軍事目的だった。1950年代から1960年代の話である。

軍隊というのは、基本的に国が所有するものだから、初期のコンピューターユーザーは国家であったと考えてよい。

【1960年代後半から1970年代前半】

コンピュータが半導体化され、価格が下がってくると民間でも使われるようになった。1964年の東京オリンピックでは、「オンラインリアルタイム集計」という技術が始めて実用化されたと聞く(担当したのは日本IBMで、米国本社の反対を説得し、受注したらしい)。

これを受けて、「コンピュータのような信頼性の低い機械にお金の計算をさせるわけにはいかない」という論調が下火になり、銀行の第一次オンライン化が進んだ。これが1960年代後半から1970年頃の話である。

【1970年代後半から1980年代前半】

1970年代後半から、ミニコンやオフコン(オフィスコンピュータ)と呼ばれる小型コンピュータが登場し、小規模な企業でもコンピュータが使えるようになった。ただし、個人で買えるようなものではなかったし、そもそも個人用アプリケーションがなかった。1981年にはIBMがPCを発売するものの、家庭向けとしては高価であり、利用者は主に企業だった。

Apple IIは1977年に登場し、個人用として売れていたが、利用者は一部のマニアであった。

【1980年代後半から1990年代前半】

1984年にMacintoshが発表され、初めて一般利用者がすぐに使えるコンピュータが登場した。マイクロソフトがアップルの依頼を受け、Macintosh用に制作した表計算ソフトExcelは大評判になった。

【1990年代後半以降】

ここからは皆さんもご存じだろう。インターネットの商用利用が解禁され、Webをベースとしたアプリケーションが登場した。

 

●誰が技術革新を起こしたか

初期のコンピュータのイノベーションは、明らかに国家主導によるものだった。それが、商用利用を重視するようになり、現在では個人利用がイノベーションの源泉となっている。

軍事機密を守っていた暗号は、個人情報を保護する目的で広く使われている。Facebookなどで、写真の顔を自動認識する技術は、もともスパイを発見する軍事目的で研究されていたそうだが、実用化されたのは個人向けSNSや、個人向け画像整理ソフトからだ(もっとも、私の知らないところで使われていた可能性も高いが)。

タッチインターフェースや、音声入力も、企業システムよりもスマートホンの方がずっと先進的だ。

ビジネス用途では、使い勝手よりも信頼性を重視するため、押し間違いの多いタッチインターフェースや、100%認識とは言えない音声入力はあまり好まれない。昔、ビデオ教材を作っていた頃に立ち会った編集スタジオでは、有線接続されたコンソールを使っており、赤外線リモコンは使われていなかった。

ほとんどの人は、赤外線リモコンで、ボタンを押したのに反応しなかった経験を持っているだろうが、リモコンを捨てたいとは思わないはずだ。一般消費者用では、少々ミスがあっても便利な方が優先される。

多くのITプロフェッショナルは「ITには100%に近い信頼性が必要」「一般消費者用とビジネス用では、求められる機能が違う」と思っている人が多い。しかし、イノベーションの中心が一般消費者に移った現在、視点を消費者中心に変える必要がある。

インターネットのサービスレベルになれた利用者は、企業システムの多くにも、それほど高い信頼性を求めていない(信頼性が必要なシステムももちろんある)。ブログサービスではアメブロの人気が高いが、今どき信じられないくらいメンテナンスの頻度が高く、停止時間が長い。それでもユーザーは文句を言うだけで離れては行かない。

一方で、使い慣れたスマホやタブレットと同じように使いたいという要望は強い。多くの企業がWindows XPからWindows 7へ移行しているようだが、Windows 7のメインストリームサポート期間はもうすぐ終わり、新機能は追加されない。たいていのIT部門は、利用者に嫌われているが、Windows 7の採用で、さらに評判を落とすのではないかと心配するのである。

 

●今週のおまけ: 占い師からベーグル屋店長へ

ところで、「キャリア形成の秘密 ~あるOLがプロの占い師になるまで~」の占い師さん、なぜか二子玉川の高島屋でベーグル屋さんの店長をやっている。占い師をやめたわけではなく、期間限定だそうだ。

私も行ってみたが、なかなか美味しいベーグルだった。

キャリア形成について、さらに面白い展開がありそうなので、紹介できる日が来ることを祈っている。

かもめベーグル
▲店名が「かもめベーグル」なので「かもめの水兵さん」からセーラー服
(セーラー風はもともと海軍の制服だ)