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ゲーム外注市場の特性
»2012年5月11日
ゲーム開発市場の歩き方
ゲーム外注市場の特性
ゲーム業界に興味のある方、まずは読んで下さい。ゲーム業界の中でも知られざる世界の歩き方を教えます。企画からサーバ構築までを手がけるゲーム開発会社経営者として営業・企画に携わっています。
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前回までの記事でゲーム開発会社にとって市場とは「ゲーム外注市場」であると述べました。
この市場でお客さんになるパブリッシャー・デベロッパーが「御社にゲーム開発をお願いします」と言うのはどういう状況なのでしょうか。
市場比較
明瞭にするために他業種と比較してみましょう。
例として飲食業を挙げます。
お腹が空いていて食べたいと思って飲食店に行って注文するとします。
「お腹が空いている」という動機があって「食べたい」という欲求が出てきて「飲食店に行く」という選択をして「注文する」という購買活動を行うわけです。
これがパブリッシャー・デベロッパーにとっては
動機:内部のスタッフでは開発力が足りないがゲームを開発したい
欲求:開発を外注したい
選択:外注先を選ぶ
購買活動:外注するとなります。
さて、お腹は殆どの人がほぼ毎日空きます。つまり、動機が普遍的でかつ定期的に発生します。「食べたい」という欲求も殆どの人が出てきます。
欲求から購買活動をはじめるまでの時間も大半は数時間以内になっています。つまり顧客が常在してかつセールス開始からクロージングまでの時間が短いのです。さらに選択にあたっては看板など店舗の外見や各種広告、クーポン等アウトバウンドの効果が比較的高いです。
それに対して、そもそもパブリッシャー・デベロッパーは毎日開発力が足りないわけではありません。ゲームを毎日新たに開発したいと思っているわけでもありません。開発力が足りない場合でも欲求として「開発を外注したい」より「新規にスタッフを雇いたい」が前に出てくるケースも結構あります。また、欲求から購買活動開始までの時間も数時間ということはほぼありません。
つまり顧客が常在せず、かつセールス開始からクロージングまでの期間が非常に長いのです。加えてクーポンなどがほぼなく、広告等アウトバウンドの効果が低めです。
これは営業する場合に大きな違いが出てきます。
例えば目の前に見込み客が100人いるとします。
このとき飲食店なら看板やクーポンで何%来店し、自店の料理を食べるのは何%かと分析し、そこから自店の料理を注文してもらう、あるいは次の昼食や夕食、翌日など直近で店に来て注文してもらえるように告知するという戦術を取ります。
ゲームデベロッパーの場合はまずどう相手に自社サービスを告知するのか、相手が今ゲーム開発を新規に考えているのか、考えている場合は相手の社内スタッフで賄えないのか、賄えない場合外注するという選択肢を取るのか、外注するのはいつなのか、と分析し、そこからどう自社を選んでもらえるのか、もし新規開発や外注を考えていない場合には1ヶ月、1年後に考えた際に自社を選んでもらえるよう認知してもらえるのか、といった戦術を取ることになります。
市場特性
つまり、ゲーム外注市場には、
- 顧客1人あたりの購入回数が少ない
- 顧客の購入に定期性がない
- アウトバウンドの効果が低く、インバウンドの重要性が高い
- 新規スタッフの獲得など競合するソリューションの競争力が高い
という特徴があり、結果、営業効率が低くなっています。
ではどうやって見込み客を集めるのか?どう認知されるようにするのか?どう選択肢に入るのか?どう選んでもらえるのか?
具体的な対策を次回以降、順を追って書いていきます。