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"美人広報"の消費期限はいつまでか?-他人事ではない"ワーキングマザー"周辺の問題を『週刊東洋経済-特集ワーキングマザー』で考える

"美人広報"の消費期限はいつまでか?-他人事ではない"ワーキングマザー"周辺の問題を『週刊東洋経済-特集ワーキングマザー』で考える

広報女子部 部長

「広報女子部」発起人。美容室広報担当。中小企業の中での広報活動に限界を感じ、広報の集まりである「広報女子部」を設立。月1回の勉強会を通じて、他社の広報との情報交換をしている。

当ブログ「誰も書かなかった、広報女子部ログ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/703mix/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


『日経ビジネス』、『ダイヤモンド』、『東洋経済』の三大ビジネス誌は男性の好きそうなコンテンツで勝負をしてきた、と、個人的に感じています。しかし、今回の『東洋経済』購買層(定期購読者以外)は、企業の人事部や総務部、そして女性社員が中心になるのではないかという気がします。

正直、一般の男性社員はあまり興味がないと思っています。それは、多くの男性社員にとって、この問題が直接自分に降り掛かってくる問題ではないからです。そのように考えると、出版社側としても売れる部数が少なくなる可能性もあるのに、よくぞ特集してくれた!!と思いました!(実際のところは社会も注目しているから...という理由でもあると思いますが)

わたしたち女性は、学生時代から社会人時代に至るまで、男性が「ぽやん」としているのを、横目に見てきたことが多くないでしょうか。それは、まず学校を卒業して仕事を探す時から始まります。自分の人生を、ずっと働くのか、途中で結婚したら専業主婦でもいいのか考え、いつまでに何をしたいと決めなくても考えた人は多くいるのでは。例えば2X歳に結婚、翌年子どもを...と考えるならば、それまでに就職している会社は産休等の制度が充実しているところ...と選びます。

なので、わたしたち女性というのは、男性が「何をしたいかな?」と考えている要素よりもひとつ多く考えるのです。しかも時間制限があるので、成功するなら早くしなければならない。いつまでもチャレンジできる、と考えないのが女性だと思います。(まぁ、実際はできるチャレンジはしていくわけですが)


今回雑誌内で取り上げられているのは、「ワーママと上司はすれ違う」や「マタニティハラスメントの実態」等のコンテンツ。更にDeNA南場さんのインタビューもあり、なんと特集で40ページほどを割いていて、編集部の力の入れようが伺えます。(詳しくはAMAZON内にある商品の説明を御覧ください)

個人的に興味深かったのは「人事部長匿名座談会 『ワーキングマザーを扱うのは難しい』"」でした。"ワーキングマザー"の問題は、本人の問題だけでなく周りにも問題を引きおこします。人事部の意見は、現場の意見としては当然であろうな、と思えるものでした。これを読んで、"制度"というのは、制度を利用する人とその周りの人が皆幸せになれる制度でなければならないと心の中で再認識しました。

雑誌では特集全体として、"ワーキングマザー"への苦難を書いていますが、これは全ての女性に見逃せないもの。なぜならば、現実には出産で事務職を退職する女性の代わりを求められて、職場に他の女性がいないからという理由で営業職の女性が事務職への辞令を受けたりしています。"ワーママ問題"は、ワーママだけの問題ではなく、全ての女性を含む問題です。

昔、学生時代に参加した国際交流イベントで、エストニアの青年に日本の産休制度について聞かれ、充実していない話をすると、「僕達の国では、出産する女性には2年間国からサラリーが出るんだ。なぜなら僕達の国はとても小さいから、自分の民族を自分たちで守ろうとするんだよ」ということを言われました。(英語の能力がいまいちなので違っていたらゴメンナサイ)

それを聞いて、「え。日本だって、ちいさな島国なのに...。自分たちの民族を大事にしようという気持ちはあるのに...。」と思うものの、ではなぜ実行しない?という自らの疑問に問いに答えられず、何も応酬できなかった記憶があります。


また、別のブログ記事として書こうと思うのですが、戦略PRの一つの手法に「社会に空気を作っていくこと」があります。

"広報"という仕事は、その戦略PR術を身につけられる仕事です。
会社のために活動しながら、会社の中で能力を磨き、本当に社会に求められる時に力をみんなで合わせて使う、そんな活動をできたらいいな、と思います。


昔、わたしの"広報"のイメージは、"十数年のベテラン"というイメージでした。しかし、今、若い企業も"広報"を仕組みとして取り入れるせいか、20代の若手女子も多くなっています。

みんな未来を信じて、生き生きとしています。
もちろん美人広報もいます。

さて、その"美人広報"は、結婚して出産したら辞めなくてはいけないのでしょうか。
どんな"美人"でも大抵出産する頃にはもっと若手が入ってきます。従順で見た目も可愛い女子が...。取材が入れば「時短勤務」なんて言っていられません。突然降って湧いたリリース作成業務があれば、残業しなければなりません。

その時、あなたはどうしますか?

不思議なことに、わたしの知っている幾つかの企業はワーママが広報として活躍しています。大抵の場合、複数の広報さんがいらっしゃる会社なので、部署全体で仕事を調整されているのではないかと思います。どんな風に運営されているのかは、機会があったら聞いてみたいところです。

もちろんワーママやその周辺の問題に悩まされるのは広報だけではないですが、みんなで考えたいですね。コンビニは売り切れた場所もあるようですが、Amazonにもあるようなので、是非買って読んでみて下さい。

【女子への追伸】

わたしは、大学卒業後初めて勤めた会社を退社した後、イギリス行きの飛行機で松永真理さんのなぜ仕事するの? (角川文庫) 』を読みました。このタイトルの中に"女性"という要素は入っていません。
でも、これは女子に読んでもらいたい"仕事について考える本"だと思います。

松永真理さんは"女性だけが人生のライフイベントに年齢制限があり、そのために大学卒業後もぼーっとしている男子を尻目に女子は奮闘する"といった表現をされていました。(記憶は定かでないです。興味がある人はKindle版で読んでみて下さい)

これはとても共感できました。優秀でなくて思い通りの歩みはしてこれなかったけど、考えるだけは考えました。そして、大学の隣の男子が、"自分の将来"しか考えずに就職活動をしているのを見て、羨ましいと思ったことを覚えています。

事実として、奮闘し続けている女性は、大学を卒業後10年経っても20年経っても苦労しています。

今の時代は男性だって会社の中で辛かったりします。ブルーハーツの歌じゃないですが、やっぱり"弱いものは、更に弱いものを叩く"んです。マタハラする人たち、そして女性を守る空気や制度を作れない人たち、みんな弱いと思います。

そして、"女性を守る空気"を作れない、わたしたち女性にも当然問題はあります。
わたしの見る限り、それは弱さというよりも"勇気がない"ということで、もっというと"勇気を持とうとしない"、誰かのために"強くなろう"としない、精神面の弱さなのではないかと思っています。

最近、仕事の関係で古い本を読んでいます。村上信彦著『服装の歴史』(1955年初版)によると、万葉集の時代、奈良時代まで女性は男性と同じように狩りをし、戦争もしたそうです。平安時代になって儒教や仏教が輸入されてから、徐々に権力から離されて行きました。この本で注目すべきは、著者が"奈良時代において(狩りや戦争を)女性も参加したがった"と書いてあることです。

更に言うと、前にも特別セミナーを実施した感性リサーチ・手塚先生の『男女脳』講座によると、今の社会での評価システムは男性にとってよいシステムが構築されているので、女性には嬉しくないことがあるとのこと。詳しい説明は省略するとして、男性が喜ぶ評価システムが女性には興ざめだったりすることがあります。よい評価をされて笑顔を作りつつも「え・・・、なんか嬉しくない・・・」と思ったことのある、そこのアナタ。それは当然だったりするので、心の声の方が正しかったりします。

「対等に働きたがる」人がたくさん増えることで時代は変えられるのではないかと思います。子どもを産んだ方も産んでない方も、まずは、今回の特集を考えるきっかけにしてみて下さい。