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ミッキーマウスのシンボルマークを創り出した人は本当に天才だと思う

ミッキーマウスのシンボルマークを創り出した人は本当に天才だと思う

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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ミッキーマウスにはシンボルマークと呼べるものがあります。あの有名な丸を3つ重ねたマークの事です。

ディズニーランドに向かうバスとかモノレールの吊革はあのマークを模してあって、到着前から自然と気分が盛り上がってくるように工夫してあります。

20080605 Disney Resort Line 2
20080605 Disney Resort Line 2 / BONGURI

先日の家族旅行でも、このモノレールのズラリとならんだミッキー吊革の一つを握りながらディズニーシーに向かった訳ですが、その全体的に高揚したムードの中で、僕には始めてこのマークを見た時の印象が蘇って来ていました。

「ちょっと無理めじゃない?」と。

このマーク、もう今となってはすっかりミッキーに見えるんですけど、始めて見た時は正直ちょっとこじつけっぽいというか、無理めだなと思ってしまったんですよね。実際丸を3つ重ねただけと言えばそうなので。

例えば少し丸を離してこのようにすると...

MilMascaras.jpg
何となくミル・マスカラスっぽくなりますし。

requiem
requiem / Fotosuabe

それから丸の間を線でつないでこんな風にしてみますと...

u-tan.jpg
うーたん」っぽくなるし。

u-tan2.jpg

それにこれって、どんな動物でも当たり前の二つの耳と顔の組み合わせだから、こんな基本形を押さえられると他の会社は動物キャラのシルエットをシンボル化する事はかなり難しくなってくるんじゃないかと思うのです。ファーファなんかもシルエットにすると結構やばいですよ。だいぶ似るよ。

fafa.jpg

でも、逆に言えば、この類似品がかなり出やすいシルエットを完全にブランドとして確立しているウォルト・ディズニー・カンパニーというのは、本当に凄いと思います。

このシンプルな形を押さえた事は、ミッキーのグッズを開発する企業に取っては企画の容易さに繋がりますし、製造メーカーにとっては複雑な形に比べて製造コストが少ないというメリットにもなる。

その結果、たくさんのグッズが生産されて僕達の日常生活のあらゆる場所に入り込み、その潜在意識にミッキーとあのマークを離れ難く結びつけてブランドを強化し続けるし、競争相手から考えると、限りなくシンプルなモチーフが既に押さえられてしまっているため、作る事のできるマークが、どうしても少し複雑になりがちで、シンプルゆえのメリットを得る事が困難になるという「参入障壁」としても働く、といった感じで、本当にあらゆる面でメリットのあるマークだと思うのです。

こういうものは最初から狙って作ったのか、ウォルト・ディズニー・カンパニーが持つ著作権に対する強い意識が自然と生み出したものなのかは分かりませんが、ミッキーと言えばあの形が「当たり前」であるような感覚を既に植え付けられてしまっている身としては、そのブランド管理能力の凄さというか、凄まじさを改めて感じたのでした。

コンテンツ産業がますます重要になる日本から見ても、このアメリカ最強のコンテンツを最強に「し続けている」仕組みについては、よく研究するべきなのかも知れません。


ディズニーシー到着後のブログは以前に書いてます ↓