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"努力が報われた感じがしない"のはなぜ?・・・新入社員の育成から

"努力が報われた感じがしない"のはなぜ?・・・新入社員の育成から

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


スクスクと新入社員が成長している組織がある一方で、全体的に元気がなくなり受け身傾向が強くなっていたり、再就職が難しいとわかっていても退職希望が出るなど、入社から1年目の2月~3月は、組織によって大きな差が明らかになっている時期です。

今回は、2011年2月7日にSix Starsで実施した『人材育成担当者ワークショップ(テーマ:配属後も元気に行動する社員を育てるための「育成コンセプト」と「プロセス設計」)でのお話を元に、自社が期待する人材へと成長させていくためのヒントをご紹介します。

配属後、「辞めたい」と言い出すのはなぜ?

当日は、製造業様、住宅関連企業様、公共関連企業様、医療系企業様などの人材育成ご担当者様にお集まりいただきました。育成状況の情報交換では、概ね期待通りに成長している組織と、現場との連携が難しく、期待通りの成長度とはなっていない(或いは退職希望も出ている等)組織で、2極化していました。

期待通りの成長度となっていない組織の状況をお聞きしていると、現場配属後に著しくモチベーションが下がっているそう。その理由は様々に考えられますが、今回は、それが起こりやすい背景について経済産業省が発表している「社会人基礎力」の資料を元にお伝えしたいと思います。

社会人基礎力とは?

「社会人基礎力」は、2006年から経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として提唱しているものです。(※詳細を知りたい方は、参考情報欄より経済産業省のホームページをご覧ください)

経済産業省では、社会人基礎力を高めるための支援施策や調査を行っていますが、その調査に興味深いものがあります。それは、2009年11月~12月に、企業採用担当者と、学生(大学・修士課程・博士課程)を対象に実施し2010年6月に発表された『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』です。

その調査で私が注目したデータは次の3つです。

1-1-1社会に出て活躍するために必要だと考える能力要素【対日本人学生・対企業】必要な能力要素.pdf(経済産業省資料)

<企業と学生とでギャップが大きな3項目>

1.一般常識:企業(11.7%)、学生(5.6%)・・・ギャップ値 6.1%

2.主体性:企業(13.3%)、学生(8.0%)・・・ギャップ値 5.3%

3.チームワーク力:企業(7.6%)、学生(11.1%)・・・ギャップ値 3.5%

 

1-1-2学生に不足していると思う能力要素【対企業】/自分に不足していると思う能力要素【対学生】不足している能力要素.pdf(経済産業省資料)

<企業側から見て、学生に不足していると思う能力要素でギャップが大きな3項目>

1.主体性:企業(20.4%)、学生(5.6%)・・・ギャップ値 14.8%

2.粘り強さ:企業(15.3%)、学生(3.0%)・・・ギャップ値 12.3%

3.コミュニケーション力:企業(19.0%)、学生(8.0%)・・・ギャップ値 11.0%

 

<学生が、特に不足を感じている能力要素でギャップが大きな3項目>

1.語学力:企業(0.4%)、学生(16.5%)・・・ギャップ値 16.1%

2.業界に関する専門知識:企業(1.0%)、学生(11.8%)・・・ギャップ値 10.8%

3.簿記:企業(0.1%)、学生(10.2%)・・・ギャップ値10.1%

 

1-1-3 学生が既に身につけていると思う能力要素【対企業】/自分が既に身につけていると思う能力要素【対日本人学生】身につけている能力.pdf(経済産業省資料) 

<企業側から見てギャップが大きな3項目>

1.粘り強さ:企業(0.8%)、学生(16.8%)・・・ギャップ値 16%

2.チームワーク力:企業(2.4%)、学生(12.8%)・・・ギャップ値 10.4%

3.人柄(明るさ、素直さ):企業(16.5%)、学生(20.0%)・・・ギャップ値 3.5%

 

組織が求めているのは、"見えないモノ?"

データが並んだので、まとめますと、双方で必要と考えている能力に、

   企業側が求めているもの⇒主体性、粘り強さ、チームワークなど

   学生側が努力していること⇒語学力や専門知識など 

といったギャップがあるようです。

仮に、上記の意識のまま配属されたらどうなるでしょうか?新入社員側は、「(与えられた範囲で)専門知識を学ぼう」と一生懸命業務を覚えることでしょう。

一方配属先の指導担当者は、専門知識を学ぶプロセスの中で必要な、「積極的に確認や質問をする、関連知識を学ぼうとうする(主体性)」や、「専門知識を教える時間を確保するために皆の仕事を手伝う(チームワーク力)」、「理解できるまで、身につくまで何度もやってみる、失敗も前向きに受けとめる(粘り強さ)」などを見て、新入社員を評価していくことでしょう。

新入社員側から見れば、言われたことを一生懸命やっても評価されず。指導者側から見れば、言われた範囲でしか取り組まない新入社員に対して物足りなさを感じる。お互いの努力が報われない状況を生み出している・・・かもしれないと言えないでしょうか。

そこで、このデータから言えることは、新入社員側と、指導担当者側の視点の違いはかなり大きいものがあり、それを早い段階で埋めておく必要性があるということです。

実は、スクスクと成長させている企業は、上手くギャップを埋めています。今週は、ギャップを埋めるためのいくつか取り組めることをご紹介していきます。

(参考情報)

経済産業省 社会人基礎力 ホームページhttp://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.htm