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松下幸之助氏の『パラダイム転換』
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日本が誇る偉大な経営者、松下幸之助氏。優れた経営をされる方は、モノの考え方、見方が柔軟だと言われています。さて一方で、そうした方の書籍を読み、現在のビジネスで活躍するリーダーからも多くを学び、努力しているにも関わらず、その人と同じような成果が出ないのはなぜでしょうか?
運がないのか、努力が足りないのか、その両方かー悩んだ時期が私にはありました。しかしある時から、それは運がないのでも、努力が足りないのでもなく、物事の捉え方が偏っていることに気付いたのです。
今日は、「物事の捉え方」について、私が感じたことがそのまま表現されている、『7つの習慣』を引用し、ご紹介したいと思います。
『7つの習慣』第一部 パラダイムと原則について 見方が変われば世界が変わる
7つの習慣は、効果的に生きるための基礎的な原則に基づいている。この「7つの習慣」は、人格主義に基づいた一次的なものだ。これらの習慣を身につけることは、永続的な幸福と成功を支える基本的な原則を自分の中に深く内面化させることである。
しかしながら、この「7つの習慣」を本当の意味で理解するには、まず自分達の持つパラダイムというものを理解し、そしてそのパラダイムを転換させる方法を知らなければならない。
パラダイムという言葉は、ギリシャ語に由来している。もともとは科学用語として使われていたが、最近ではモデル、理論、知覚、既成概念、仮定、あるいは一定した見地をさす言葉として広く使われている。もっと一般的に言えば、パラダイムは世界を見る見方であり、私たちの認識、理解、解釈を決めるものである。
(中略)
人は皆、それぞれの頭の中に様々な地図(パラダイム)を持っている。こうした地図は2つに大別できる。現実を写し出す「物事のあるがままの姿」を描いた地図と、自分の価値観を写し出す「物事のあるべき姿」を描いた地図である。私たちは、あらゆる経験を、こうした地図をもとに解釈している。これらの地図が正確かどうかを疑うことはめったになく、そうした地図を持っていることすら意識することは稀である。私たちは単純に物事は「こうだ」あるいは「こうあるべきだ」と思いこんでいるだけである。そして私たちの行動や態度、考え方そのものも、こうした地図から生じている。
(引用了)
松下幸之助氏の「熱海会談」
戦前→戦中→高度成長期→昭和末期という、時代が大波のように揺れ動く時代の中で経営にあたられてきた松下幸之助氏の生涯は、まさにパラダイム転換の連続だったでしょう。パナソニックミュージアムのホームページで閲覧できる、"松下幸之助の「衆知を集める」"や、パナソニックのホームページ"松下幸之助物語"を読むだけでも、その一端を知ることができます。
今日はその中から、リーダーであれば一度は直面する状況、「熱海会談」をご紹介します。
「熱海会談」は、昭和39年、熱海のホテルにおいて開かれた会議です。
それは、オリンピックで好況だった市場が、金融引き締めなどの政策により、一気に冷え込んだため、松下の販売店・代理店が不振にあえいでいるのではないかと危惧したことから開かれました。
販売店・代理店を集めてみると、その事態の深刻さは想像以上。170社集まった販売店・代理店のうち、利益が出ているのはわずか20社強。8割以上が赤字。どの販売店・代理店も苦境に立たされていました。
松下幸之助氏としては、前向きに意見を出し、よい知恵を出す場にすることで、何とかこの苦境を打破する場にしようと考えていたことでしょう。しかし、代理店・販売店から出てくるのは、環境、松下幸之助氏の経営、松下の商品、販売政策への不平・不満のオンパレードです。全てを他責化する代理店・販売店の社長に、松下幸之助氏は、次のように言います。
「小便が赤くなったことがありますか」
松下幸之助氏の「パラダイム転換」
松下幸之助氏としては、代理店・販売店が本当の意味で良くなるには、自立・自責で取り組むことに尽きると考えての言葉だったでしょう。しかし、その言葉によって代理店・販売店の後ろ向きな態度が変わることはなく、会談は平行線をたどります。
そして3日目、松下幸之助氏は次のように伝えます。
「皆さんの言い分は良く分かった。松下が悪かった」
その発言の後、松下幸之助氏は自ら営業の第一線に戻り、社内に販売体制の改革を指示します。それからしばらくして、松下にヒット商品が生まれはじめます。そして会議から2年後、過去最高益を達成します。
リーダーの「パラダイム」
自分に厳しく、努力するのが当たり前のリーダーにとって、松下幸之助氏が求めた"自立・自責"の考え方には強く共感することでしょう。そして、そのことを「正しいことだ」とお感じになることでしょう。
しかし、このエピソードからも分かる通り、代理店・販売店(私たちにとってのメンバー)は、リーダーの言う"正論"が意味することは分かっても、その意向に従って努力することはありません。
このような考え方の違いの理解をすることなく、リーダーシップを発揮しようとすると、組織は疲弊し、遅かれ早かれ破たんします。私の場合は、このことに気付かず暴走した時期があり、周囲を疲弊させました。そして、後になって自分の持つ「パラダイム」に気付いたのでした。
しかし、恐らく当時の私が松下幸之助氏の「熱海会談」のエピソードを読んでも、気付くことはできなかったでしょう。「パラダイム」に気付いたのは、「パラダイム転換」が必要な状況に直面したからです。その時は本当に辛い時期でした。しかし、その時期を乗り越えた後、「パラダイム」を意識することができるようになりました。そして、何が「パラダイム」になっているのか考える習慣が今はあります。それにより、悩みや迷いが減るだけでなく、少しずつ自分の理想に近付く手ごたえを感じています。
既にリーダーの方も、これからリーダーを目指される方も、一度この「パラダイム」について、『7つの習慣』で確認してみるのもいいかもしれません。その際は、Biz.ID:「7つの習慣」セルフ・スタディブックを是非ご活用くださいね。
http://bizmakoto.jp/bizid/rensai_selfstudybook.html
DIAMOND on line にて、8/20(金)~29(日)の期間、「7つの習慣」を無料公開中!(明日からは、第5の習慣~理解してから理解される~http://diamond.jp/go/pb/7habits/index.html
(参考情報)
パナソニックミュージアム 松下幸之助の衆知を集める「熱海会談に学ぶ」
http://panasonic.co.jp/rekishikan/tokubetsuten/2007/cnr04/cnr04_01.html
パナソニック 松下幸之助物語 7-1 「熱海会談」