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絶対に乗ってはいけない 2

絶対に乗ってはいけない 2

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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絶対に乗ってはいけない 2

 

 新舟60(Ma60)という中国製の飛行機が、インドネシア、ミャンマーで、何度も墜落事故を起こしている。トンガ王国に寄贈されたMa60は、ニュージーランドへの立ち入りを拒まれて国際問題になっている。

中国製航空機 新舟60.jpg

 1996年のこと。私はベトナムのハノイ駐在をしていた。その時に、鉱物資源調査の件でラオスに出張した。ビエンチャンまでの便で、当時使われていたベトナム航空のツポレフに搭乗を避けるために、私は一端、ハノイからバンコクに出て、ビエンチャンに入った。
 ビエンチャンから、地方のルアンプラバンへ行く必要があったので、ラオスで一緒に現地へ行って、仕事を助けてくれるビジネスマンに乗り継ぎ飛行機の手配を前もって頼んでいたが、ビエンチャンに着いても何も手配ができていなかった。


「ビエンチャンからルアンプラバンまでの定期便が無いのですか」と尋ねると、
「ありますが...」と口を濁す。
「切符は取れないのですか」
「いや、死にたくないのです」
「ええっ」
「飛行機が中国製なのです。(旧)ソ連製の飛行機のコピーで、Y...(タイプは忘れました)。無事に飛べばラッキーで、無事に到着すれば奇跡だと言って、誰も乗らないのです。私も絶対に乗りません。空飛ぶ棺桶です」
「そんなの私も嫌だ」
「そうでしょう。だから、切符を買わなかったのです」
「じゃ、どうすればいいんだ。ヘリコプターをチャーターするか」
「中国製のヘリですか?飛ぶ前に壊れています。ソ連のヘリのコピーですよ。飛べない棺桶です。止めておきましょう。一つだけ方法があります。それはフランス製のATRという双発機をチャーターして使うことです」
「ATRって最新鋭だね。それなら良いが、70人ほど乗れるんじゃないのか」
「そうです。それを3人で4時間チャーターして、ルワンプラバンまで行って、現地で仕事をして、戻ってきます。いかがでしょうか」
「うーん、で、費用はどれくらい掛かるんだ」

 安くはなかった。しかし、手の届かない高さではなかった。私が手元で払える金額だった。私は本社に電話して、許可を求めた。ダメと言われるかと思ったら、「そこまで行っているなら」とOKが出た。友人に伝えて、次の日の朝の出発を頼んだ。

 空港に行き、現地に向かう友人たちと一緒に、混雑している待合室にいると、「ルワンプラバン」と係員がアナウンスした。私たちは立ち上がった。すると、待合室のほぼ全員が立ち上がった。
「な、なんだ。この飛行機、チャーターしたんだよね」
「そ、そうです。ところが、席はほとんど空いてるので、航空会社から口コミで伝わって、これだけ集まってしまったようです」
「そんな、阿呆な。みんなは飛行機代は、どうしたんだ」
「いいじゃないですか。飛行機は飛ぶんだし、仕事は済ませられるし、みんなはその時間に行くだけだから。硬いことは、言わないで」というから分かった。

 ラオスの航空会社は、定期便の機種を変更して、乗客を集めたのだ。だからチャーターといっても、死ぬほど高くはなかった。賢い商売があるものだ。私の友人も稼いだ疑惑が残った。ただ、私の仕事は完全に済ませることができ、無事に往復できた。フランス製のATR機は安定した飛行でまったく問題なかった。私は機長と副操縦士の真ん中の補助いすに座ることができた。ラオスの美しい山岳、日本が昔作ったダムなどを眼下に見ることができた。ただ、機内に、現地で乗客が買ったのか、鶏の鳴く声が聞こえていたのは、閉口した。

 

メキシコの航空会社がロシアの中型ジェット旅客機スホイ・スーパー・ジェット100(SSJ100)を9月から使用予定している。この飛行機もインドネシアでのデモ飛行で墜落45名が全員、死亡しているほか、本国ロシアでも、細かなトラブルが多発しているとのこと。この飛行機も、まだまだ初期のバグがあって、とても博打的に乗ることはできない。その他、政府が不利な情報をコントロールしたり、隠したりする国の航空機は、基本的に危ない。

 

我々の身近にそろそろと近づく中露の航空機。まだまだ怖い。アジアの国々で知らないで乗ってしまうことがある。

 

Point

(1)予約をする時に、機種を尋ねること。

(2)特に海外のトラベルエージェントは、知ったかぶりで間違った情報をぬけぬけと言うこともある。機種を確認するために、その場で、航空会社に尋ねてもらう。

(3)あまりに安いのにひかれてはいけない。安さには、それなりの理由があるかもしれない。切符は払い戻しできないことが多く、購入すると乗らざるをえなくなる。まさにロシアンルーレット(弾を1発だけ入れたピストルを自分の頭に向けて撃つ博打)だ。

(4)カウンターでチェックインする前に、機種を尋ねること。

 

 

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