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緊急提案  バスの運転手の緊急短時間仮眠・排尿の権利を認めよう!

緊急提案  バスの運転手の緊急短時間仮眠・排尿の権利を認めよう!

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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緊急提案 
バスの運転手の緊急短時間睡眠排尿の権利を認める。バスの居眠り運転事故防止を!

長距離運転では、人間であるかぎり、絶対に眠くなる!前の晩、いくら良く寝ても眠くなる。

非常に単純だ。その前の睡眠が十分でも、仕事が単調なら眠くなるのは当たり前。これがどうして、理解できないのだろうか?

昨日まで、眠くなかった運転手も、今日、眠くなるかもしれない。

「運転手は、眠くならないように、しなければならない」とバス会社の経営陣が言っている限りは、バス事故は減らない。

 以前に車を持っていた時、東京から京都は夜中に家族を連れて走った。運転するのが私一人だったので、走り出す前に、「眠くなったら、休憩を取るからね」と家族に言って、「さあ、行くぞ」と出発した。
 途中ではやはり必ず眠くなった。私は眠くなると後ろ頭を掻く癖があり、私が後ろ頭を掻くと、後ろの席の子供たちが、「わあ、父ちゃん、大丈夫?」と、騒いで、「休もう、休もう」と大声を出す。「うん、次のパーキングで休もう。何かおもしろいことを言って見ろ」なんて、言うことにしていた。それでも、家族全員が寝込んでいる時に、眠くなることもある。そうなると、最悪で、無理をしてしまうのだ。休めば良いようなものだが、ついつい運転を続けてしまう。居眠り運転を続けてしまうのだ。もうその時には、半睡眠の状態で「休む」という意志も表示できない状態で運転しているのかもしれない。

 私は、以前の(『ねむけおばけ』バスの運転手を見張れの)ブログでも言ったが、海外で長距離バスに乗る時には、運転手を見張るために、一番前の席を希望して座っていた。そこから、運転手の横顔しか見えないが、それでも居眠り運転をし始めると、ハンドルの遊びのせいか、蛇行する事が多いので、運転手の側の窓の景色の内で、道路の端との間隔から、蛇行をしていないか、見張っていた。


 モントリオールからケベックシティまでのバスでは、運転手の真後ろの前から2番の席しかあいていなかったが、運転手が①窓を開け、②ラジオをいじり、③頭を掻いて、④軽い蛇行が見えたので、私は座席の反対側の通路側に座っていた女性に、「すみませんが」と英語で話したが、フランス語しか通じない。その隣の女性が英語も分かったので、ずばり、「運転手が居眠っていませんか?眠くないか尋ねてください」と訴えた。「眠いなら、どこかで止まってほしい」と言ったら、女性がフランス語で、運転手に声を掛けた。運転手が、それを聞いて、また頭を掻いた。(わあー)と思ったが、運転手は前を見ながら、何かを言った。

 女性が私に、「大丈夫だって、言っています」と言う。私は運転手に聞こえるように、大きな声で、「眠いのか、眠くないのか聞いてください」と言ったら、女性が「もうすぐに到着しますから、大丈夫です」と言う。(違うだろう。今、眠いか、眠たくないかが肝心だ) 運転手にのど飴を渡して乗りきった。


 以前のモロッコでの長距離バスでは、私は鞄に入れていたチョコレートを、居眠り運転が始まった運転手に渡したこともある。ベルギー・ブリュッセルからパリまでのバスでは、私は恥ずかしさをぶっ飛ばして、トイレを要求し、緊急停止をしてもらい、運転手にコーヒーを渡した。運転手が私に目でお礼を言っていた。
 多いのは、小便を我慢すると眠気が重なることもある。
 
 まず、絶対に必要な改革は、長距離運転手に、15分ほどの居眠り休憩をどこででも取る権利を与えて、乗客にも「運転手が眠く感じたら、緊急短時間睡眠の停止や緊急トイレ停止をする可能性があります。みなさんの安全のためです」と明記しておくことだ。
 乗客でこれに反対する人がいるとは、とても思えない。
 

仮眠の時間は20分程度。これでも残り2時間は目が覚める。短時間仮眠と排尿と洗顔、ブラックチョコ、熱いコーヒー、リポビタンDなど、これらが目覚ましセットだ。長距離運転手は、このセットを持ち歩く。
 
 今は、全国どこでもインターネットが通じているのだから、バスの運転台に運転手(特に顔)を大きく見張るビデオカメラを備えて、動画で(たとえば15分ごとに)定期的にセンターに送り、センターでは、すべての長距離バスの運転手を見張り、怪しいとすると、運転手に「おーい、大丈夫か、眠たくないか?」と尋ねることにしてはどうか。センターと会話ができて、センターは、運転手の座席に振動を起こさせたり、「近くの~で、緊急停止をしなさい」と指示をするようなことが必要だ。

 車の蛇行度をはかったりすることも可能かもしれない。運転手の顔を大写ししたり、前の景色を捉えるのも一つのカメラでできるかもしれない。

 眠ければ寝る。これ以外に、長距離バスの事故は防げない。また運転手も、無理をしないで、「眠気を感じますので、どこかで緊急停止します」という勇気を持ってほしい。長距離の列車でも、同じだが、停止しようがないのは、もっとシビアだ。

 

追加

今回の関越の事故の場合、乗客は事故直前の運転状況の異常さを言及している。それに気がついていたとすれば、どんなことがあっても、居眠り運転を疑うことと、大声で、運転手に声を掛けて目を覚まさせることが必要だったのではと思う。現実には、とても、それだけの時間がなかったのではないか。それをしようと思った矢先にぶつかってしまったのではないだろうか。残念だ。誰かが、運転手の見張りをするべきだったのだ。