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最後まで自分の味方をしてくれる時間とは?(2)細切れだからこそ使いやすい「移動時間」

最後まで自分の味方をしてくれる時間とは?(2)細切れだからこそ使いやすい「移動時間」

生内 洋平

EGGPLANT楽団主催 株式会社デザインバンク代表 & アート・ディレクター 株式会社アニー・デザインオフィス アートディレクター ジャンルの垣根なく、仕事活動中。二娘のパパ。音楽は家族。デザイン・アート人生の相棒。創り続ける目的は自分と関連あまたの豊かさ創りです。

当ブログ「イクナイの未来派生活研究室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ikunai/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


移動時間のような、

「ある程度の長さは予測できるが、その時によって長さがまちまちな時間」

をうまく使うには、
「今時分が何をやらなければならないか」
をよく認識しとく必要があります。

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一時流行ったGTDなどはその例だと思いますが、いわゆる「タスク管理」というやつです。

GTDは、つまりは

「やるべき事を細分化してリスト化しておく」

という手法ですが、これをやると、忙しくて埋め尽くされていると思っていた作業予定の中から

「実は15分でこなせる事」

が幾つも出てきます。

これを認識しておくと、移動時間にあてがったりしてタスクを着実に減らすことができるのです。
もちろん作業だけでなく、「移動時間」は様々な局面を前に進めることができるポテンシャルをもっています。

では移動時間の使い方にはどんなものがあるのか?
代表的なものをあげてみましょう。

 

1.考え事

僕はデザイナーですが、グラフィックデザインに携わる事もあれば、システム設計や実装などをするいろんな意味での「デザイナー(設計者)」なので、様々な仕事を取扱います。
机に向かって作業をするまでに、プレゼンや打ち合わせで人と話をする前に、企画書を作る際に、移動後に起こるであろう様々な局面に対する準備が「考え事」です。
5~20分位の短時間から、数時間単位の長距離移動まで、様々な移動の途中に使えます。
これは集中力さえ保てれば割とどこでも出来ると思いがちですが、実は一番自分の精神状態に左右されます。
車でも、自転車でも、自家用車、あるいは敢えて満員電車だとしても、

「考えようとしている事に一番似合うシチュエーションを自ら作る」

というのが大事なファクターです。

 

2.作業

これは、業種によっては出来る出来ないがありますが、僕みたいなデザイナーは「パソコンを開けないと作業が出来ない」という局面がほとんどです。
そのために「着席できている」という状況が必須になります。
また、それなりにまとまった時間が必要なのも特徴です。
電車やバスに乗るのであれば1本遅らせてみたりして様子を見るとか、確実に作業しなければならない局面などはタクシーを使うとか。
タクシーなどは多少高くつきますが、移動時間に作業をするのならば、「時間を金で買う」位の意気込みで臨まなくてはなりません。ある意味では最終手段とも言えますが。

また、長距離出張で新幹線や飛行機などを利用する局面などでは、自分の乗り物酔い具合と相談しながらになるでしょう。作業は体力を消耗します。無理して作業に没頭すると、現地に着いたらヘロヘロ、なんて本末転倒なことにならない為にも、計画的な休憩は必要です。

 

3.本を読む・音楽を聴く・映画を見る

長距離移動ならではの使い方です。
iPadやPSPなど、最近は映画をデータとして持ち歩ける環境が、ハード、インフラとも揃ってきました。
そんな環境を使わない手はありません。

一昔前は新幹線の窓側席、国際線のそれなりのクラスのシートなど、安定した電源が確保できるような移動手段でのみ実現可能でしたが、バッテリーのロングライフ化が著しい昨今では、1日の移動時間程度、どこでも余裕で動画・音楽・書籍などを楽しめます。
また、ここ最近ではiPhone、iPadなどを初めとした閲覧端末の進化により、全てをデータ化してもって歩ける(=持ち物の重さが変わらない)というメリットもあるので、手のひらのエンターテイメントを使った手軽なリフレッシュ方法は、移動時間用に幾ら用意しても足りないくらいです。

 

4.世界を眺める(一昔前の「新聞を読む」に近い)

僕はオフィスでの調べ物を殆どしません。
iPhoneやiPadのおかげで「調べ物をする場所」はオフィスや図書館じゃなくなりました。
特に新しいプロジェクトが始まった時なんかは、最初の行程検討段階で電車や車などの移動時間に関連事項を調べまくったりします。

1.まず移動時間でネットに落ちてる現状をつかみ、
2.調査がある程度進んで方向性が見えてきたら(=ネット情報じゃ物足りなくなってきたら)次は蓄積資料で根拠を固め、
3.行程に起こす。

という流れを最近とても気に入っていて、このくだりを見てピンと来た人には是非やってみて換装をいただけるとうれしいです。
何より「世界を見る」という行為に「移動しながら」というシチュエーションはとても似合っています。

 

5.世間を眺める

アイディアに煮詰まった状態を救ってくれるのは、乗り物に乗っている人達の一寸した油断からくるユニークな行動だったりします。
誰しも一日中カッコつけの仮面をかぶってはいられません。

「老若男女、車両内の全ての人がスマートフォンかゲームで遊んでる特異な状態」

なんかも日本ならでは。旬なこの状況を見逃さないようにしたいもんです。

また、長距離移動の景色は意外にすぐ飽きてしまいますが、「ふと目をやる電車の窓」などには思いもよらない光景がまっているかも。
知らない土地を探索するのと同じくらい「よく知ってる土地を見直してみる」ことは、インスピレーションの固まりだったりするのです。

 

6.スケジュールを見直す・調整する

冗談も交えながら進んでいるこの話で、実は一番肝なのがこの作業です。
「スケジュールを放り込む」のは主にオフィスや打ち合わせ場所での作業ですが「放り込んだスケジュールを最適化する」というのはまた違う話で、移動時間にふと気づいた「この作業は明日のこの時間にやればいいんだよな」的な事をその場でサッと反映させておくことも「邪魔が入りにくい」という移動時間の性質ならではです。
時にはジッと考え込んでスケジュールを見直してみるのもいいでしょう。
経験上、1週間分のスケジュールを本気で見直すと、時には1日分くらいの空きを余裕で作ることができたりもします。
それほど「取り合えず手帳に詰め込んだスケジュール」は穴だらけなのです。

 

7.寝る

これは究極というか、基本です。
信じられない疲労を感じているときに、移動時間に作業しろなんて「何をか言わんや」です。
タクシーの後部座席や電車の一番端の席は、ワーカーやアントプレナーにとっては即席ベッドです。
眠いときは寝る。これは移動時間だけじゃなく、全ての基本です。

 

これまであげてきた「移動時間の使い方」において大事な事は、
「いつもやらない」
ことです。

人間はそれがルーチン化すると、勝手に更なるガンジガラメに巻き込まれます。
これはもう、そういうもんなのです。

普段はそんなやり方もあるな、と気に留めておくくらいにしといて、実際にガンジガラメ気味になってきた時に使えばいいのです。

そんな「次の策がある」的な心の余裕が、またガンジガラメを遠ざけてくれます。
前回も書きましたが、ガンジガラメ感を呼び起こすのは、いつの時も「視野の狭窄」です。
そんな状態をなるべく作らないのが、「脱ガンジガラメ」のコツと言えます。

 

※Tips
僕は「机に向かわないと出来ない事」を「作業」と呼んでいます。
この時間は完全な「拘束時間」なので、この時間をなるべく減らすというのが「脱ガンジガラメ」のキーの一つです。

さて、次回を最終回にしましょう。
次回は「移動時間」を使う為の準備。移動時間を彩るツールをどうやって選択・整備すべきかを考えます。
僕(Mac使いです。)が実際に使ってるおすすめのツールもお知らせしようと思います。

 

最後まで自分の味方をしてくれる時間とは?
(1)「実は自分の自由になっている時間」をどう見出すか

(2)細切れだからこそ使いやすい「移動時間」
(3)移動時間でのスケジュール&タスク見直し
(4)作業の手助けとなる様々なツールたち