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道具をうまく使う ~ピットレックの使い方 直球編~

道具をうまく使う ~ピットレックの使い方 直球編~

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。
 今回も、道具をうまく使う方法として、デジタル名刺ホルダー「ピットレック」を紹介します。

【私の名刺整理方法は時系列】

 名刺の整理方法についてはかなり質問を受けます。ちなみに私はすべて時系列です。

 とにかく会った日を名刺に書き込み、会った順番に入れていく。ですから、隙間なく入れることができます。

 あいうえお順ではこうはいきません。このページはア行と決めたらア行の人しか入れることはできません。カ行の人と会ったら、飛ばして次のページに入れるしかないのです。これでは500枚収納の名刺ホルダーでも500人分の名刺を入れることはできません。

 いつ会ったかはだいたい覚えているので時系列で探せますし、私は日々の記録をテキストでつけているため、全文検索すればその人と初めて会った日が分かるのです。

 この日々の記録は「これさえメモ」というのですが、これについてはまた別の機会に書きましょう。

 

【名刺ホルダーの限界】

 ところが、ここ最近、名刺ホルダーでの整理法に限界を感じて来ました。

 今は500枚収納の名刺ホルダーを使用しているのですが、最後のページが近づくと、私は古い(前の方)のページの名刺を処分し、後ろに持って行っています。

 ところが、名刺交換のスピードが速くなり、この作業が追い付かなくなってしまったのです。

 私の机の中に、時系列に重なった刺がの束が2つ、3つと出来ていきました。

 コンサルティングの際、私はこのような名刺の束を見つけるや、すぐに「この名刺、使ってるんですか」と突っ込んだものです。それが今、私の机の中に出現しつつあったのです。

 マズい...。

 そんなとき、ピットレックが発売されました。

 会社名、氏名のほか、登録日でも検索できると聞き、私の興味は一気に増しました。登録日、つまり時系列で探せるとあれば、今までのやり方を何ら変える必要はなく、かつ会社名や氏名で探せるとなれば、今以上です。

 「この道具は私を助けてくれる」

 そう直感し、8月6日の発売日に購入しました。営業用サンプルではありません。本当に買ったのです。

 

20101015_26-01.jpg【携帯の名刺読み取り機能は意外と不安】

 最近の携帯電話には名刺読み取り機能が付いています。私はWILLCOM03というPHSを使っており、この機種にもにも「名刺リーダー」というアプリケーションが標準で搭載されています。

 読み取り精度も100%ではありませんが、なかなかです。この機能を使えばピットレックは不要のようにも感じます。

 では、結果的に私は、この名刺リーダー機能を使っていたのか?

 答え。一切使っていませんでした。

 なぜでしょうか。

 理由の一つは、仕事とプライベートを一緒にしたくないからでした。

 妻や、地元悪友に混ざって、仕事上の連絡先が表示されるのはどうしても嫌だったのです。実際、少しは仕事関連の連絡先も入っていますが、何度か「誤送信」のヒヤリハットを体験しています。WILLCOM03のソフトウェアキーボードは、本当に押しづらく、誤操作が多いのです。

 こういう状況がアドレス帳の中にがいくつも発生するのは嫌なので、名刺リーダー機能は、使ってはいませんでした。PHSにはプライベート、仕事は名刺ホルダーに入れ、会社に施錠して置いて来る、としていたわけです。

 二つ目の理由は不安が多いこと。名刺リーダーが本当に正しく読み取っているのか、精度が高いと言っても不安なのです。この時間はいるはずなのに電話に出ない。3と8を読み違えていないだろうか。そういえば東京本社と東京支店の2つの番号が併記されていたけど、読み取ったのはどっちだろう?

 裏面の地図や、会社のロゴマーク、顔写真などもなく、名刺に記載されている有用な情報もかなり捨てられて登録されています。

 でも、外に出てしまったら、確認のしようがありません。不安の中、今ある連絡先に連絡し続けるしかないのです。

 こうした理由から、自分のPHSに名刺リーダはあるものの、それを使って仕事の連絡先を入れる必要はない、と結論付けてここまで来ました。

 

【名刺を画像で確認できる安心感】

 ピットレックは本体に内蔵されたカメラで名刺そのものを撮影し、画像で確認できます。裏面を登録することも可能です。画像で参照すれば、そのような不安は一切ありません。名刺に書かれていることは画像そのものですべて目で見て判断することができるのです。

 ピットレックには発信機能がないので、押し間違い、選び間違いによる誤送信はありません。

 そして、全ての名刺-今までの全ての自分の仕事の履歴-を持ち歩くことさえ、夢ではありません。16GBのmicroSDカードを別途用意すれば、9999件の名刺を登録することが可能なのです。

 時系列はもちろん、会社名、氏名、閲覧履歴順など、様々な探し方が可能です。

  • 会社名は覚えているけど、名前は忘れてしまった
  • 会ったのは1か月前の展示会だったけど会社名も名前も忘れた
  • 何もかも忘れたけど顔写真付きで赤いロゴマークの名刺だった

 そういうときでも探せます。名刺ホルダーや携帯の名刺リーダーでは、絶対に不可能です。

 

【ピットレックは名刺整理の環境を変えたか?】

 変えましたね。完璧に。

 名刺の登録は、これまでのアナログ名刺ホルダーよりひと手間かかります。

 ピットレックは、OCRで社名と氏名を認識した際、正しく読み取れていなければ、手直しが必要です。

 しかし、もしそうなったとしても、この作業を面倒とは思いません。この後に待っている、様々な利便性を享受できることを知っているからです。それを得るために今、時間を投資するのです。つまり、第Ⅱ領域に今、時間を投資すれば、後になって「書類探し」というつまらないことに時間を割かずに済むからです。

 後はもう、さっき書いたとおりです。

 名刺というのは書類と違って、探し方が多様です。

 部分的な記憶しかないことが多い上、必要なときは緊急度も高い。しかも、それが起こるのは外出先だったりする。

 焦っているときでも画像で確認できる安心感は強力です。そして、パスワード設定も可能。これも持ち運び時の安心感を更に高めてくれます。

 ピットレックは見事にこれらのニーズに応えてくれました。もう、手放せません。