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「捨てる」という名の時間投資術:1か月満期コース ~実践編~

「捨てる」という名の時間投資術:1か月満期コース ~実践編~

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。

 少ない時間投資で、短期に出来るだけ多くのリターンを期待する、時間投資1カ月満期コース、3回目の今日は、実践編です。

 捨てるという作業は面倒でもあり、不安との戦いでもあり...と、心のハードルがいくつかあります。事前知識編をしっかり頭に入れた上で、以下に挙げる実践編にトライしてみましょう。

 

●捨て方を知る

 「捨て方がわからない」それだけの理由で持っていた、普段やらない捨て方だから、分別の仕方が分からないから...。普段とちょっと違う、良く知らないことは先延ばしにしたくなるものです。

 しかしまぁ、だいたいのことは分かってみれば「思い悩むほどのことではなかった」と感じることばかりでしょう。もしくは「ちょっと調べればいつでもできるから、いつかやろう」そのいつかが先延ばしされていただけなのかもしれません。

 いずれにしても、モヤモヤしていた部分をクリアにしていくと、大体はたいしたハードルではなく、やるぞと決めて、時間を取れば、なんてことのない程度のことがほとんどです。

 

●すべて床に広げる

 机の引出しのものを床に広げます。引出しから不要なものをつまみ出していては、何時でも「挫折できる」ので効果が上がりません。作業を続けつつ、面倒とも戦わなければならないからです。床の上に広げれば見通せますし、もう引き出しに戻すかゴミ袋に入れるか、どちらかにしないと終われません。どちらに入れるも労力は同じ。だったら綺麗になる方を選ぶでしょう。

 もっと強力なのは、引き出しのものをゴミ袋の方に開けてしまうこと。そこから要るものをつまみ出すのです。面倒くさくなったら何時でも挫折して、袋ごと捨てれば良いのです。早く挫折すればするほど、モノを減らせます。本当に必要なら面倒でも引き出しに戻すはず。まさに、面倒くささを味方につける、画期的な方法です。

 コツをもう一つ。ゴミの袋はなるべく大きなものを用意します。一旦袋を手にすると、せっかくだから一杯にして出そう、という気になります。面白いものですよね。

 

 

●誰かに監視してもらう

 自分一人でやるといつでも挫折できます。だから、誰かと一緒にやるのが最高です。部署全員総出でお掃除モードになってしまうのが最も理想的です。年末と言う今の時期こそ、それができる大きな理由づけになります。このチャンスを逃す手はありません。

 また、過去の思い出などが出てきてしまうと、つい見入ってしまったりします。そういう時に「何やってんだ~」と抑止してくれる声は、大変有難いものです。

 

【こんなモノは捨てられる!判断の指標】

 ものや書類の捨てるための判断の例をいくつか挙げてみます。

  • 明らかに要らないもの、書類
  • 法定保存年限を過ぎている書類
  • 社内規程の保存年限を過ぎている書類
  • 過去1年以上見ていない書類
  • 確定版ができたメモや下書き
  • 他部署が主管で1年以上前の書類
  • フタや表紙を開けて見ないと中身が思い出せないもの、書類
  • 実際には使っていない、前任者が置いていった個人資料
  • なくても仕事ができるもの、書類
  • もし必要だったら、そのときもらえばいい書類
  • どこで会ったか分からない、顔も思い出せない人の名刺
  • 重複しているもの、重複した書類の原本でない方の書類
  • 見て始めて「こんな物があったんだ」と気づいたものや書類
  • なくなったと思ったまま進行し、既に完了した仕事の書類
  • 捨てるのが面倒、捨て方がわからなかっただけのもの
  • すぐに手に入るのに予備と称してため込んだ文具類
  • 正直いらないが、悪いと思って捨てられなかった貰いもの
  • 実際使っていないが、思い入れがあって捨てられなかったもの

 

【こんなモノは共有化!判断の指標】

 捨てないまでも、個人の机ではなく共有キャビネットで管理した方がいいものを挙げてみました。

 この作業をみんなで行うと、他の人が共有キャビネットに差し出してきたものと重複が出たりします。その際は1つだけを残し、その他は捨てます。

  • 完結書類
  • 複数のメンバーが担当する仕掛り案件の書類
  • 会議資料
  • 研修会の資料
  • 仕掛かり、完結にかかわらず重要度やリスクの高い書類
  • 必要だが時々しか使わないもの
  • 高価なもの

 いかがでしょう。確かにそうだよな、と共感していただけるものもあると思います。

 ハードルだと思っていたものの多くは、「面倒」がさまざまに形を変えていただけではないでしょうか。考え方を変え、方法を知り、時間を取り、面倒を味方につければ、捨てる作業は驚くほど進みます。

 ただ、属している組織や環境によって判断の結果は違うと思いますので、「一つでも該当したら」と言うわけではありません。この基準で即決出来たものはいいのですが、どうしても答えが出なかったものもあるかと思います。

 ここまでの考え方、手法を駆使しても答えが出なかったものは、この時点で捨てなくても結構です。ただ、迷ったものとしてわかるようにしておきます。迷い箱を用意して入れておいても、付箋などでマーキングしても結構です。 

 これらのものを捨てたり、共有化することで身の回りのものを大幅に削減することができるでしょう。その分あなたの管理工数は減り、日々の業務は楽になります。空いた時間でさらに仕事を進めるもよし、更なる効率化の研究に再投資してもよいでしょう。

 あなたが捨てるという作業に時間を投資した結果、この先ずっと浪費され続けたであろう、不要な管理工数や無駄なものの中から必要なものを探す時間を削減したのです。その結果、時間と言うリターンを手に入れることになるでしょう。

 さて、次回は、増やさない仕組みを作る、定着編です。