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名刺管理ツールを買って、時短して、成果を出す(2/2)
ファイリングは捨てることと見つけたり
名刺管理ツールを買って、時短して、成果を出す(2/2)
キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。
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皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。
前回に引き続き、お題の「名刺管理術」。結局自分に合っているのかどうかは、継続できるかも含めて、自分で判断するしかないのです。では、コンサルタントの私が実際にやっていた名刺管理術とは?
【絶対不変の分類基準、それは...】
ファイリングコンサルタントを続けているうちに、誰でも、将来にわたっても、絶対に判断基準が変わることのない、不変の並べ方を発見するに至りました。
それは、時系列です。
2011年5月1日は、世界の誰が見ても、2011年4月30日の翌日であり、2011年5月2日の前の日なのです。つまり、名刺に交換した日さえ記載しておけば、いつ、誰が並べようとも、必ず絶対間違いなく、同じ場所に収納されるのです。
これに気づいた時、私の中で、唯一時系列だけが分類方法として信頼に足るものとなりました。そこで私は、本当に淡々と、頂いた日付を記入して、順に名刺ファイルに収納しました。
時系列の良い所は、絶対不変という安心感だけではありません。名刺ファイルを隙間なく使うことが出来たのです。会社名だろうと氏名だろうと、絶対に隙間が出来てしまいます。それを嫌えば、差し替えが発生します。
時系列に並べれば、「基本的に」差し替えは発生しません。会った順は変わることはないのです。
これは、もう一つ、「ラク」というメリットをもたらしました。
前回申し上げましたように、名刺管理に限らず、ファイリングは継続できるルールであるかが大事です。時系列にした途端、とにかくその時点での最後のページを開いて次々入れていけばいい、という方法になりました。これはとにかく簡単で、疲れていようと用事があろうと、継続することができました。ただ、最後に入れていけばいいだけです。こんな簡単な作業はありません。
【時系列のデメリット】
時系列のデメリット、これは時系列以外では探せないことです。「探し方」と言えば誰でも最初に思いつくような会社名や氏名では探すことが出来ないのです。ただ、それ以上のデメリットって何?となると、見つからない。それもまた事実です。これ以外のデメリットを感じたことはありません。
【普通を疑い、時系列のメリットを見出す】
確かに会社名や氏名の五十音順検索はとても普通です。しかし、「普通=使いやすい」と考えるのは短絡的です。実際、名刺をもらう都度、いちいち五十音順に並べ替えるのは続くわけがないと思いました。私は決して名刺交換が多い方ではありません。それでも続かないのですから、もっと名刺交換をする人はかなり難しいはずです。
中にはこのページはア行と決めたら、そのページ内はア行のものさえ入っていれば順番はどうでもいい、という方法を採用している人もいます。名刺は自分しか使わないわけですから、それで探せるのなら否定はしません。ずぼらの残し方の一つの方法だと思います。
後は、たくさん隙間を開けておくとか。もちろん最大収納はできなくなりますが。
しかし、私は、それらの方法は決して気持ちの良いものではありませんでした。納得できない整理方法で、名刺ファイルを見る度、イライラしていたのでは精神衛生上良くありません。
ところが、時系列なら確実に会った順番で並べられます。商談から帰った後の作業は貰った順に収納していけばいいだけですから、もう楽チンそのものです。同じ商談で複数の方と同時に交換した名刺を、その順まで変えずに並べるといった超几帳面なことだって大して難しいことではありません。
ただし、会社名や指名では探せない。ところが実際やってみると、それほど困らなかったんですね。
いつ名刺交換したのかは、大体自分が覚えているのです。また、一覧性のある、名刺ファイルを使っていたのも良かったと思います。開くと20枚名刺が見渡せる。その中には1人や2人、強く印象に残る方がいるわけです。で、「あ、あの人と会ったのは、この商談より前だな」とか、そうやってしてページをめくれる。1枚めくればまた20名ですから、あとは名刺のデザインで探しているのだと思います。
よほど昔の名刺でない限り、かなりのスピードで探すことができたのです。そう考えると、名刺が1枚しか見れない回転式やボックスタイプは時系列は向かないかもしれません。大体これらの用具は名刺1枚1枚が独立していて、途中に入れられるのですからあいうえお順だって行けるわけです。
【ファイルタイプなら時系列、ボックスや回転式は五十音順】
結論はこうなると思います。
会社名や氏名で五十音順で並べたいなら、もしくはとにかく順番がどんどん変わる並べ方(使った順など)にしたいなら、ボックスタイプや回転式を選ぶべきです。これらの方法は途中抜き差しが必ず発生するわけですから、それが簡単な収納方式でなければ破たんします。
時系列は記憶の糸をたどる探し方です。あの商談より前だった、この人に紹介してもらったんだからこの人より後だ、そう言う自分の歴史をストーリーで振り返る探し方です。これは前後関係が必要です。だから、一目で複数の名刺が見渡せて、簡単には順番が入れ替わらない、いや、むしろ変わっては困るわけです。そういうタイプのファイル型が適しています。それもなるべく多く見渡せる、A4で両面で20枚入るものがいいでしょう。
私は時系列で何とかなったのでやりませんでしたが、並べ方以外に、名刺に小さなラベルなどを貼って、多重に管理できるようにする方法もあります。使うならぱっと見てわかる、色分けラベルが良いと思います。
また、五十音順にする場合注意しなければいけないのは前回も書きましたように、「NHK」を、アルファベットに持っていくか、「エヌエイチケー」と読ませるか「日本放送協会」と読ませるか。このルールを厳格に決め、貫くべきです。こうした組織は他にも結構あります。中にはいったん決めたルール通りだと変に思えてくることもあるわけです。そこで「この会社だけはこっちにしようかな...」となったが最後、同じ会社なのにあっちにもこっちにも、となります。ルールは貫くか、変えるなら全て変えて、今後はそれを忘れないように注意。
【時系列の名刺検索を補助するライフログ「これさえメモ」】
時系列での名刺検索は、大体いつ頃だったという情報を基に、見開き20名の名刺を一覧しながら探します。ただ、時にはそうした他との繋がりがない、単発の名刺もあります。こういう名刺は時がたつと「いつ」を忘れがちです。
いつを忘れると、面倒です。特に名刺交換数の多い方は、名刺ファイル何ページもめくって探すことになってしまいます。
この問題の解決に私はテキストでつけたライフログ、名付けて「これさえメモ」を活用していました。
「これさえメモ」には、その日行った全てのことを時系列で記入しています。要は日記みたいなものです。日記と違うのは、その日の終わりに書くのではなく、業務中にどんどん書き進めていること。
もちろん、ここにはどなたとお会いしたか、名刺を頂いたか等が記載されています。
「これさえメモ」はテキスト(拡張子txt)なので、エクスプローラで全文検索が可能です。会社名やお名前で検索すれば、時系列で書かれた「これさえメモ」ですから、いつ会ったか分かります。「いつ」さえ分かれば、名刺ファイルから探せます。「検索」で探せるのがデジタルの強みです。(これさえメモについては、また別途詳しくご説明する機会を設けたいと思います)
【時系列整理法の限界】
最強と思っていた時系列名刺整理法も限界を迎えます。それは、1冊の名刺ファイルが一杯になったときです。
もちろん、最も古い前のページから捨てていけばいいのですが、今でもお付き合いが続いている方は捨てられません。そうすると、数枚は残ります。ここに時系列では今まで発生しなかった「差し替え」が出てきてしまうのです。
名刺ファイルをもう一冊増やす、という方法もあります。名刺交換の頻度が低く、例えば、このペースで行けば自分は一生で交換する名刺はせいぜい2000枚だと「見えた」とします。そうなれば例えば500枚入りの名刺ファイル4冊分です。
そのくらいのスペースなら確保済みだ、というのなら名刺入れを増やす方法もあるでしょう。もし、仕事が変わるなど予想できない人生の大転換があったときはそのとき考えればいい。遡るほど古い時系列なら、そう言うこともやりやすいと思います。
ただ私は名刺ファイルを増やすことはしたくなかったので、古い方から捨てられる名刺は捨て、残す名刺を差し替える。これを数枚やると1枚名刺ホルダーが余るので、一番後ろに持っていく。こういうことを始めたわけです。
ところが、名刺交換回数が増えてしまい、この作業さえ追いつかなくなってしまったのです。そんなとき弊社から出たのがピットレックでした。まさに渡りに船、のタイミングだったのです。
この続きは、過去のブログ「道具をうまく使う ~ピットレックの使い方 直球編~」に書いた通りです。こちらも併せてご覧下さい。
いかがでしたでしょうか。名刺整理も「自分はどう探すか?」「交換の頻度は?」「どこまでこだわるか?」「机のどこにしまいたいのか?」などの条件で、正解はそれぞれ違ってきます。要は、自分の仕事を見通し、できるだけ多くの条件を正確に出した上で、この方法は自分にとって、良いか悪いか、悪いならどこを工夫すればいいのか、それを見定める力がファイリング力だと思います。
身の回りにある文具をただ買って漫然と使うのではなく、何か工夫出来ないか?と常に思っていれば、必ず答えに出会えるものです。