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全てはこの質問から始まる- 何に困っていて、どうしたい?(2/2)

全てはこの質問から始まる- 何に困っていて、どうしたい?(2/2)

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。

 前回は「何に困っていて、どうしたい?」の質問で、お客様自身が、現状(スタート)と理想(ゴール)を再確認していただくというお話でした。

 さて、前回の話を忘れないうちに、本題に入りましょう。

 

【ファイリングコンサルタントはお医者さんのようなもの?】

 スタートとゴールが明確になったら、そこまでの道筋を決めていきます。

 ゴールまでの道筋が急すぎると判断した場合は、もう少し緩い暫定的なゴールを設定したり、到達までの時間を長くしたりする提案も必要です。良いツールがあれば提案しますし、なければコンサルタントが後押しします。

 結果を急げば周囲が甘くなり、裾野が狭い不安定なシステムになりますが、お客様がそれを納得した上で望み、私もお客様ができると判断すれば、そういう提案もします。

 逆に、そういうのは望まないお客様もいます。

 結局コンサルタントというのは「あっちを行くならこういうメリットがありますが、こういうデメリットもありますよ、このデメリットを克服するためにはこういう対策が必要ですね」といった判断材料をお客様に提供することが仕事だと思います。

 その上でお客様にも「これならできる」と実感してもらえる道を決め、一緒に解決していくのが理想ですね。

 逆に「全てコンサルタントの言う通りにするから指示だけしてください」というお客様には、まずそこから考えを変えて頂きます。

 書類管理は本来自分たちですることです。指示通りにするのはそのときは早いかもしれませんが、コンサルタントのお仕着せのルールになってしまいます。

 これではその後、お客様自身で運用を開始したとき、着心地も悪く、愛着も沸かず、守っていこうという気持ちを強くは持てないでしょう。

 情報という血液がうまく流れなくなり、不要な書類という老廃物が各所に溜まっている組織は、人間でいうと生活習慣病にかかった患者さんのようなものです。こういう病気を治すには、「治りたい」という患者さんの強い意思が必要です。何しろ、習慣を変えなければ治らないのですから。

 それを治すお医者さんがファイリングコンサルタントなら、インフォームド・コンセント(説明と同意)の中でコンサルティング方針が決められ、共に戦うべきです。

 「何に困っていて、どうしたい?」

 この質問は、そのコンサルタントとお客様が共通理解を得るための入り口です。ファイリングの成功は、ファイリングテクニックだけではなしえません。

 皆さんも、私のブログを参考に、個人的に色々なファイリング技術を身につけた後は、ぜひ、そのノウハウを社内の改善に生かしてください。そのときは、この質問からスタートすると、何を優先すべきかが見えてくると思いますよ。