誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

予期せぬサービスの利用法

予期せぬサービスの利用法

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 商売をしていると、非常に悩ましい状況に出くわす。提供側の意図とは違う利用方法を顧客が見付け出し利用するのだ。多くが「こんな利用法もあるのかぁ」と感心させられることなのだが、その反面「こんな利用法をされると困っちゃうなぁ」ってこともある。

 先日、被災地の復興を目的としたトラックなどの中型車以上を対象にした高速道路無料化を、打ち切りしたことは記憶に新しいと思う。
 本来は、被災地への物流スピードを上げる為の目的であったが、被災地とは関係のない物流に利用されているとのことで、制度が打ち切られたわけだ。
 さて、皆さんはコレを利用している側が悪いとするか、それとも制度を作った側が悪いとするか?

 もう一つ海外のニュースです。
「大迷惑!IKEAのカフェテリアを中高年が占拠して無法地帯化」
 中国各地で展開している北欧家具のイケア(IKEA 宜家)、いずれの店舗もカフェテリアを併設しているが近年、このカフェテリアが本来の買い物客ではない地元のお年寄りに占拠される事態となっている。イケア会員カードがあれば平日はコーヒーが無料なため、開店と同時に大勢のお年寄りがやってきて6時間以上も居座る。上海では老人社交クラブ主催者がイケアのカフェテリアを会場としてメンバーを集めており、問題が深刻化している。各紙で報道されている。
と、ある。私も近所のIKEAには何度も足を運ぶが、IKEAのフードコーナーは非常にリーズナブルだ。買い物で疲れた後の50円ソフトクリームは、つい購入してしまう。IKEAの会員カードは所有していない為、このサービスは知らなかったが、HPでは「料理を頼めば、ドリンクが無料になる」と書いてある。

 2つの共通点は、サービス提供者は利用者がこんな利用の仕方をするとは予期していなかったことだ。

 コンビニでは少し状況は違うが、やはり提供者側の意図としない困った利用法をされる方がいる。しかし、被害金額?が微少であり、過去から許されて来たことである為、大きな問題には発展していないが、あえて書いておく。
 一つ代表的なものを挙げると、消耗品の無償提供を求められることだ。「(商品を入れている)袋をもう一枚頂戴」「箸を3本付けて(弁当のお買い上げは1点だ)」「はさみ・のり貸して」などなど。商品を入れる袋は、各種大きさがある。それぞれ、買い物量に合わせて使用しているのだが、もう一枚余分な経費はもちろん商品代には含めていない。箸は以前、弁当に直接添付されていたので、商品代金に含まれていたが、現在は資源の無駄遣いを無くす為に、別添付になった。それ以来、商品代金には含まれていない。はさみやのりなどは、商売として売っているにもかかわらず、その商品を売らずに貸している。

 上記ニュースからはIKEAさん側のコメントが出ていない為に、どういった状況にあるのか分からないが、高速道路ではサービスが中止された。意図としないサービスの利用法をされ、それが、利益を圧迫した場合、そのサービスは打ち切らなければならなくなるのは事実だ。コンビニの業態は、物販である。サービス業ではないので、サービス料を付加していない。本来、上記のようなサービスを提供するには、商品価格を上げなくてはならなくなってしまうのだ。
 筆者のサービスについての考えはコチラを御覧ください【「サービス=無料」って意味なのかなぁ】

 では、これらサービスを提供する場合、性悪説に基づいてサービス内容を構築すれば良かったのだろうか?接客業に携わって20数年。それでは、少し寂しい気がする。
 利用者側へモラルを求めるのは、間違った考え方なのか?これらニュースを聞いて思った次第である。

【追記】
 読者の方からのツイートで「フリーライダー問題」と、あった。恥ずかしながらこの「フリーライダー問題」という、言葉を知らなかった私。早速調べてみたら、どうもこの問題、上記のような「モラル」とは違った側面があるようだ。まだ、勉強不足の為、はっきりしたことは言えないが、いずれ「フリーライダー問題」について書いてみようと思う。