誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

成人確認ボタンのジレンマ

成人確認ボタンのジレンマ

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 先日のエントリー『成人確認ボタンにキレてる人に告ぐ』には、多くの方から様々な意見感想を頂きまして、誠にありがとうございます。
 筆者の書き方に対して気分を害された方も多いかと思います。
 当事者が、関連事項について語ろうとすると、どうしても、自分達の思いだけが前に出てしまいます。それは、他者から見れば大変醜く映るものです。しかし、コンビニオーナーのブログとして、色々なコンビニ問題について、晒していきたいとの考えから、今回は、ネットの特性を利用し、敢えてあの様な形での投稿にさせて頂きました。気分を害された方にはお詫び申し上げます。

 コメント数で100件近く、Twitterでは1700件以上もの反応を見て、大変驚いたと同時に、これらをまとめてみようと思った次第です。そこから、何か良い方向が見つかればと考えて、皆さんのコメントを見ていました。結果は残念ながら、余りにも多くの意見、多方向からの感想に、確固たる回答は見出だせませんでしたが、考察にお付き合いいただければと思います。
 
 販売者側、顧客側それぞれのジレンマです。

 顧客側は「タッチが面倒臭い」これが、多くの方からの反応でした。コメントやTwitterを見ると、大きく2種類の面倒臭いが見えてきました。

 一つ目は、単にめんどくさい。筆者もかなりの面倒臭がりなので、それに関しては何の異論もございません。これは、先日エントリーした『レシートブロック誕生物語』のレシート受け取り拒否に通ずるモノがあるように思えました。
 コレに関して、Twitter等で書き込まれた中に「タッチしたくなるような何かがあればいいのに」といった意見を頂きました。また、こんな事例も紹介されました「スウェーデン発:VWのアイデアコンテスト 人々の意識や行動、そして社会を変えるアプローチ 」店舗入口の泥落としを促進するために、泥マットに仕掛けを施すというやり方です。例えばタッチのタイミングでおみくじが表示されるといったところでしょうか。
 「意味無いものに意味を持たせる」大変参考になりました。ありがとうございます。
 もう一つ、参考になった意見として「年齢確認という言葉を使わなければいいじゃない」というものがありました。どういった言葉が適正かは分かりませんが、それも一つの方法だなと考えた次第です。

 面倒臭いの2番目は「何故、店のリスク回避に付き合わされなければならないんだ。メンドクェなぁ」という意見です。店のリスク回避、確かにその要因が強いシステムです。コンビニというのはマニュアル化されたことにより、これだけの拡張に至りました。マニュアル化されたからこそ、接客の未経験者を雇うことが出来るようにもなりました。
 この接客未経験者を雇うことで、人件費を抑えることにもつながっています。それは、経営者の利益を上げるということではなく、コンビニシステム自体を維持することつながっています。

 これら「面倒臭い」と言われている方の多くは、「聞かれれば、どちらかと言えば面倒臭い」といった方が多数でしょう。再度、お願い申しあげます。新たなるシステムが構築されるまで、どうかお手間を取らせることをお許しください。

 多くの人からコメントして頂きましたが、「ボタンを押せば未成年にも販売するのか?」と、いうことについて書きます。
 コレもまた、多くの方から反論コメントを頂きましたが、明らかに未成年と分かる場合は、当然販売しません。
 「未成年にもボタンを押せば売るのか?」と、いうことは否定させて頂きます。(一部、コメントで未成年者が買っているとのコメントもございましたが、建前であれ、未成年者と分かるものには、別途年齢確認をするというのが決まりです。)
 それ故に「じゃあ、尚更明らかな成人にボタンを押させる必要はないじゃないか」とのお叱りを受けそうですが、そこに販売者側のジレンマがあります。

 コンビニは、多くの不特定多数の方を相手に商売をしております。そして、それらのお客様の考え方は様々です。「タッチぐらい簡単なことじゃん」と、おっしゃって頂ける方から、「んなメンドクセェこと出来るか」と、言われる方まで、すべてがお客様です。その結果、平均的なマニュアルを用いらなければならないということになります。
 「その位、臨機応変にやれよ」という声が聞こえてきますが、臨機応変な対応ができるという事は大変に素晴らしい接客だと、思います。そんな素晴らしい接客ができる人を囲い込むだけの賃金を提供できないでいる店舗が多くです。(決して働いている人を馬鹿にしているわけではありません。そんな時給だから、そんな働き方しかしないというのは、労働者の権利でもあります。)
 先に記したマニュアル化というコンビニを大きくした仕組みと、フランチャイズ経営という利益構造の中で、接客に、労働者に経費を裂いて来なかったことに要因があると考えております。
 これを単に「言い訳」とするには、多くの障害があるのが事実です。残念ながら、これはという考えには至りませんでしたが、今後の課題としたいと思います。

 その他多くの方から、法律についてのコメントを頂きましたが、決まった法律についてあれこれ言う資格もないので控えさせて頂きます。

 今回は、思わぬ拡散に、様々な意見感想を知ることができました。ネットの意見は極論も多く大変参考になりました。現状を変えるには、まず極論を出し切るという手法は、大いに役に立ちます。その後、現実との隔たりから、新しい何かが生まれるからです。
 今回のシステム導入に問題があったのは、その極論を考える過程を安易に通り過ぎたところがあるように思えます。
 皆さんの意見感想は、本部の人間に伝えてみようと考えております。システム上の問題なので、早急な解決には至らないと思いますが、今後のシステム変更に大きな課題を示せると思います。

 皆さん本当に多くのご意見ご感想ありがとうございました。叩いていただいたコメントには、かなり凹みましたが、それら意見も重く受け止めようと思います。ご賛同いただいた意見も、叩いてくれた意見も含め、コンビニというのは、本当に皆さんの生活に密着しているモノだと、コンビニを経営する者として、改めて襟を正す思いです。

以下、TwitterをまとめたURLになります。