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今そこにある危機Ⅱ

今そこにある危機Ⅱ

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


前回は、コンビニの高校生アルバイトでも未成年者に煙草、酒を販売したら罪に問われる話でした。

最近、世を騒がせている多剤耐性菌。詳しくは専門外なので分からないが、病院のリスク管理が問われそうな感じの報道だ。過去も色々なことで、企業のリスク管理が問われてきた。消費期限、産地捏造と、その度に危機管理を行なう部署を設置したりして来たろうが、根本的な対応策は講じられているのだろうか。いつも、事が起きてから大騒ぎしているような気がする。

かく言う私も、先日一歩間違えれば店をつぶしかねない出来事があった。店舗のハード的問題で衛生状態が維持できないという不具合が発生したのだ。(個店確定の恐れがある為、詳しく書けなくってスイマセン)緊急対処することで事なきを得たのだが、改めて冷静に考えると冷や汗が出る。

その時に一番驚いたのが、店舗巡回社員の発した一言だ「この位多分大丈夫じゃないですかねぇ。◯日間も商品が販売出来無いのはマズイですよねぇ」って、おいおい、安全面より販売を取るのかよ!!
もちろん現象自体は大袈裟なことではなかったので、店舗巡回社員も「つい口に出た」と、いった感じだったが、私はその時「ヤバい!この言葉を安易に受け止めたら店が消えて無くなるかもしれない」と、自分自身も売上を立てたい気持ちを戒めたのだ。

今回の件を例えるならば、「見た目きれいなリビングの床に落ちたアメを拾って舐めるか捨てるか」と、いったところだろう。自分自身が、拾って舐めるのであれば気にしない程度のことである。それが友人であったらどうだろう。本人が「食べる」と、言ったら気にしないかもしれない。「大丈夫だよ」って、後押しすらするかもしれない。しかし、その落としたアメにたまたま食中毒原因菌が付いてしまって、たまたま友人の体調が万全じゃなくて食中毒症状が重篤化したりしたら、場合によっては死んでしまうことすらあるかもしれない。はたして利益が絡んできた場合、そこまで考えることは出来るだろうか?

まさしく今回自分は、「判断がその後の道を分ける」入り口に立たされたのだ。自分が選んだ方向が間違っていたら店は営業停止。運良く何事も起きずにいたら「やっぱり、何でもなかったか!自分の直感を信じて良かった。売上も順調だし」って、思っていた?いや、当時の判断について振り返りもしなかっただろう

今まで大きな問題に発展した企業の判断も、最初は些細な判断ミスだったのではないだろうか。「この位は問題ないだろう」「多分大丈夫だろう」「こんなこと今までもやってきたし」そんな間違った選択が、大きな問題が発生するまで選択の誤りに気付かない企業体質になってしまっていたのではないか。
場合によっては、小さな問題報告を処理するメンドくささと引き換えに、握りつぶしていたことも考えられる。私のように、全ての決定権限を持っている人間が現場にいるならば事を進めるのが早いが、通常企業では報告書等を回していくのが普通だ。過去から臭いものにフタをしてきた問題点を、いまさら指摘されたからといって問題解決に進もうとする人はどれほどいるのだろうか。

ほんの些細なことや、今までに出会ったことのないトラブル等、最悪の状態をシミュレーションして対応をマニュアル化していかないと、本当の危機を乗り越えることは不可能だ。しかし、それを行なうことは簡単ではない。臭いものにフタ!これが一番楽だからだ

今回は、冒頭に記した多剤耐性菌のニュースを偶然にも私が見ていて、色々と危機管理について考えていたところで、発生したことだったからこそ無事に処理出来たのかもしれない。改めて「店に潜む危機についてしっかりと考えていかなければ」と、思った事案であった。