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メディア自虐ネタに、なぜ広報?――『週刊ダイヤモンド 最新号 "経済ニュースを疑え!"』

メディア自虐ネタに、なぜ広報?――『週刊ダイヤモンド 最新号 "経済ニュースを疑え!"』

広報女子部 部長

「広報女子部」発起人。美容室広報担当。中小企業の中での広報活動に限界を感じ、広報の集まりである「広報女子部」を設立。月1回の勉強会を通じて、他社の広報との情報交換をしている。

当ブログ「誰も書かなかった、広報女子部ログ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/703mix/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


先日、『週刊 ダイヤモンド』創刊号に見る100年前の日本 という記事を書かせて頂きました。今のネット社会では、たくさんの雑誌が廃刊になっている現実があります。その中で、なんと『週刊ダイヤモンド』は100周年を迎えることが出来た。これはすごいことです。

今週20日、創刊100周年特集を盛り込んだ最新号(『週刊 ダイヤモンド 2013年 5/25号 [雑誌]』 )が発売されましたが、その特集内容たるや、メディアに接する人間として見逃せない内容でした。
ダイヤモンド特大号.jpg
これを発行した『週刊 ダイヤモンド』編集長・編集部は勇気があると思います。
そして、危機感も感じられます。

どんな大御所の発行部数の多い雑誌でも、今はいつ無くなってもおかしくない時代。
生き残るためには【改革】が必要なのです。

そして、この特集は、広報担当者ならではの見逃すわけにはいかない理由もありました。今回はその理由について書いていこうと思います。

■特集の中に「広報担当者」というフレーズがいっぱい!!

今回twitterやFBに「週刊ダイヤモンド、読むべし!」というコメントがたくさん上がっておりました。また、NAVERまとめでも既に4万件を超えるPV...ということで見てみたのですが、記事について「自虐的」と書いてあったので、メディア側の「自虐」と想定して読んだら...むむむむむっ?これはメディア側に対してだけ自虐的なだけではない。何か一緒に巻き添えを食っているような。。。

なぜならば、記事の中に、今まで雑誌の中で何十個もカウントしなかったであろう、ある言葉が。もちろんそれは「広報」とか「広報担当者」という言葉です。これは、ダイヤモンド社の「自虐」ではなく、【広報心中】の特集だと判断しました。


■100年続く老舗雑誌と、大企業広報の関係

ページを捲ると、「広報」の文字のカウントの多さ以外にも、パッと見違和感を感じたものがありました。それはアンケートを読者1000人と企業広報100人に実施しているところです。

え?なんで、広報?

そう思いました。だって、ニュースを見て判断している確かな目を持った人なら、他にもいるでしょうから。

しばらく、うーーーん、と考えた結果、「ダイヤモンドのように発行部数の多い雑誌は、広報との関係性がすごく強い」という結論に至りました。

確かに会社の業績など正しい数字が出てくるのは広報ですから。よくお付き合いされるのでしょうね。メディアの方とお話をしていて「いつも広報担当者さんには助けてもらっています」という言葉を聞くことがあります。

そこで思うのは、「自分がいつも助けそうな気はしない」という気持ちなのですが、確かにメディアを助けている広報さんたちがいるということをまざまざとイメージ出来ました。(ちなみに、本当に中小企業の広報の場合、ほとんどのケースでメディアさんを"助ける"ことはないです。これは"助ける"ような情報をタイミングよく出せないからです)


■「広報100人-一般読者には、"広報"は"広報"

このブログを始める1本目の記事、辞令はある日、突然に。――もしある日、広報に任命されたら?で書いたように、広報の世界はブラックボックスです。 広報に関する本や雑誌は、役に立ちません。それがなぜかというと、この"ブラックボックス"の部分が一般に開示をされていないからです。そして、広報の仕事をしていくうちに、開示されない理由があるのだと理解しました。わかる人にしかわからないようになっていたのです。

そして、今回のアンケート協力に応じた謎の広報100人。

恐らく、一部上場企業なのだろう・・・。一部上場企業は1700社ということは、概ねざっくり1/17 をセレクトしてアンケートを実施したのか~~、と、考えます。

きっと、この中に、中小企業は入っていない。
中小企業の広報の中には、この特集で書かれているようなことと無縁な仕事生活を送っている人は多いです。

しかし、一般の読者がこの記事から「広報」っていう言葉に抱くイメージは、ココに「広報」と書かれている以上、中小企業にも余波が及ぶので中小企業の広報さんも注意が必要です。一般の人はこういう記事を読むと驚いて、「こんなことやってるの?」と聞いてきたりすると思いますが、そうした場合の応対(スタンス)はどうするか考えておいた方がよいと思います。


■自社(自分)のスタンスは決めた上で、説明できる準備を

大企業だけにとどまらず、この記事に書いてあるように多くの企業でニュースはリークされ、コントロールされ、売買されています。しかし、それ単体では必ずしも悪くなるわけではないのも事実です。"字面"だと本当に単一なイメージが降ってきそうですが、物事はもっと多面的で複雑です。

また、この記事に書いてあるような"スクープ"なんてものは、今の時代、もう存在しない気がします。それはスクープを取ったとしても、他の媒体が同じニュースを掲載するのに1日かかった時代とは違い、ものの1時間でできてしまうからです。

今回、この号はインターネット上でとても話題になっています。そして、twitterやFBなどで「買うべき!」とお勧めしている人も大変多いです。結果的に、この号はダイヤモンド社の狙い通り、とても売れる気がしています。ということは、たくさんの人が読み、ジャーナリズムについて考える機会を持つということ。今まで疑問を持たなかった人に疑問を持たれ、こちらをお読みの広報さんにも「あなたはどうなの?」と言われる機会も出るのではないでしょうか。

■【本音】の時代へ

なんだかんだ思ったことを書いてきましたが、今回ダイヤモンド社がこのような特集を出したのも、今までのやり方では限界を感じ、変えるべきだと考えたからに他ならないと思います。わたしたち広報も、メディアではないにしても、メディアに関わる者として、新しい"メディアの意義"今の時代に合った"発信"について考え直さなければならないタイミングに来ています。

ということで、あなたがもし広報担当者で、「今の仕事を変えたい」と思うなら、是非読んでみてはいかがでしょうか。そして、読んだ後は、自分なりの考えを育まれることをお勧めします。

月水金でブログを書いていても、なかなかそこまで書けていないのですが、わたしになりに考えていることがありますので、また後々発信していきたいと思います。