誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

自炊した本の読みやすさ 【iPad】 vs 【REGZA Tablet】

自炊した本の読みやすさ 【iPad】 vs 【REGZA Tablet】

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


REGZA Tablet AT703(以下、レグザタブレット)と、iPad Retinaディスプレイモデル(以下、iPad)は、表示の精細さに違いがある。

レグザタブレット約300ppiに対し、iPadは264ppiだ。

とはいえ、iPadがRetina(網膜)レベルのディスプレイなのだから、それ以上の高精細さがあってももはやその高性能ぶりを人間が享受できないのではないだろうか、と思い込んでいた。

実際、両方を使って同じ写真やWEBサイトを見ても、精細さの差はわからなかった。どちらもきれいである。色味についての個人的な感覚としてはiPadの方が勝るようにも思えた。

しかし、である。

自炊した本を読みくらべて、気が付いた。

"レグザタブレットの方が、文字がきれい(クリア)に見える。"

と。


写真で比較、自炊本の見え方

同じファイル(『Storyweaving』という本をスキャンしたもの)を開き、ディスプレイに定規を当てて、物理的に同じサイズになるように微妙に拡大調整した状態で、二枚を重ねて少しずらして撮ったものだ。

vs01.jpg

手前と奥を変えて、もう一枚撮った。

vs02.jpg

写真では見えにくいが、iPadの方がにじみが大きい。

「あ、こっち(レグザタブレット)は、字が読みやすい」と感じた。

これが、この一週間レグザタブレットを使ってみて、初めてはっきりと高精細さの恩恵を感じた瞬間だった。


自炊本の壁と、本格読書の可能性

これは、いままであきらめていた「自炊本の本格読書行為」を可能にしてくれるものであった。

電子書籍やPDFのような「フォント」を表示するのと違い、自炊した本の中では、文字は絵として表示されている。解像度の悪いディスプレイで読むと汚くて読めない。

iPadでは「少しストレスを感じながらも、充分読める」という読書体験であった。

レグザタブレットでは「字がクリアで、紙の本を読む感じに近い」という読書体験になった。

良く分かっている内容(既読)の本を読む("目的の所を探し数ページ読む"といった感じに5分読む)場合には、どれでもさほど変わらずに拡大したりして用事を済ませられる。

だが、読んでいなかった未読の本を読む(何十ページも読む)場合にはこの精細さの違いは大きい。

これまでのiPadでの、もやがかかったような感じの読書体験が、ようやく「望んでいた理想の自炊後の読書」となった。読んだ内容が、"普通に"頭に入る。


余談:

そもそも、読んでいない本を自炊してしまうことの愚かしさは重々承知している。

筆者は旅仕事が多いが、旅に出る前に読みきれる量の本しか買わないようなおとなしい買い方はできない。となれば「あとで読む」と決めた本の初読は旅先の新幹線やホテルの部屋の中でになる。

以前は、「後で読む」とした本を旅カバンに入れたが、旅先の鹿児島で、網走で、読み終わった後は持て余してしまう。

直近の仕事で引用しそうな本ならば、運び続けなければいけないがこれは結構きつい。

送ることこともできるが、送り返してしまった翌日にその本を引用することが必要になって、その街の書店に手に入れに行くこともあった。

旅に出る前に、未読本の体積・重量をゼロにして旅の道中ずっと本を連れて行きたいと思うようになったのはこういう経緯もある。


Android タブレットの反撃

筆者は、Fandroidというグループの理事長をしていたこともあり、Android タブレットに対し前から大きな期待を寄せて触ってきた。

しかし、iOSのシンプルさ、滑らかさ、熟度の前には、この先もずっと、Androidは及ばないかもしれない、ということも感じていた。

だが、今回このハードを触り続けてその認識は変わってきた。

iOS系の使い心地は相変わらず素晴らしいけれど、Androidはずっと育ってきている。

未来において振り返った時、このレグザタブレットが「iPadを超えているタブレットが出始めた」と感じた最初の瞬間だったと思うのかもしれない。

(もちろん、iOSの方がそれでもやっぱり使いやすい所もあるし、そろそろ始まる次のバージョンのOSでは、もっと良い道具になるならば、この感覚については、また修正をしなくてはいけなくなるかもしれない。)


終わりに

以上、高精細さについて、ユーザの感受できる恩恵としての「自炊本の読書」に光を当ててみた。

これについては、たまたま、筆者の使っているスキャナ、読み取りの仕様、対象とした書籍群のフォントサイズの特徴によるものかもしれない。色んな種類のスキャンした資料を読んでいく中で、気が付く点があれば、また報告したい。





468x60_at703b.gif