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1つを見つける間に10個なくす、悪しき習慣と整理方法

1つを見つける間に10個なくす、悪しき習慣と整理方法

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 整理・整頓が必要なことはわかっていても、なかなかその時間を取ることはできませんよね。どうしようもなくなってから年末に大掃除、夏休み前に一気に整理、だから日常的にはやらない。昔は私もそうでした。子供の頃から片づけが面倒で、怒られるまで何でもかんでも出しっぱなし、そうやって育ってきました。

 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。かく言う私も、この仕事をしていなかったらそのままオトナになっていたでしょう。

 どうしようもなくなってからやる。

 やらないよりはましですが、あまり良い方法とはいえません。

 

【1つを見つける間に10個なくす、悪しき習慣と整理方法】

 「書類をひっくり返して探す」「溜め込んでから一気に整理する」といった方法は、実は多くの書類を失う結果につながるのです。

 机に山と積み上げられた、一見無秩序に見えるこれらの書類も、それなりに年代順に地層(?)をなしているわけです。この地層は白亜紀だとかと同様に、この辺は2009年代、こっちは2008年代...と、他人には分からなくても、本人にはなんとなく頭の中のインデックスと地層の情報がリンクしているものなのです。

 ところが、一気に作業をする時には探したい書類のことや整理することで頭が一杯です。必要以外のものに対しては「見えなくなっている」と言っても良いほど意識が低くなっています。しかし、積んである以上、上をどかさなければ下の書類は見えません。そのため、目的外の書類を手にしてもあまり考えないままあっちからこっちへ移動させ、手に取った書類を思いつきの判断で収納したりしてしまいます。

 ひとつの書類を探し当てるまでに、他の多くの書類の収納場所が移動し、「地層」は乱れてしまいます。一つの書類を探すのに、他の多くの書類の置き場所の記憶を失い、見つからない書類を増殖させてしまうのです。

 こうして記憶のインデックスから切り離された書類は、ブラックボックスのように無秩序な塊となり、要るか要らないかも判断できない(やろうと思えばできるけど面倒だからやりたくない)まま、放置されていくのです。きちんとしたルールがなく、収納場所が個人の記憶のみで成り立っているような管理方法ではこのような事態に非常に陥りやすいのです。

 

【すべての収納はダイレクトアクセス可能な方法で】

 このような事態を避けるために以下の3つを実践してみましょう。

1.他の物をどかさずに取れるように収納する。

2.置き場所は記憶に頼らず、一定のルールに従って収納する。

3.ファイル管理表で管理する。

 他の物をどかさないというのは、多くは「立てる」ですね。立ててあっても、その前に別のものが置いてあってはいけません。

 また、見た目は綺麗にファイルに綴じられていても、中身は無秩序の塊というのは意外とオフィスの各所に潜んでいるものです。改めて見回してみてください。キャビネットの上や最下段、キャビネットとキャビネットの間にできてしまった隙間なんかに良く見られます。

 ファイリングをしていれば、このような事態をさけることができます。整理や廃棄は日々の業務の中に自然に組み込まれてくるので、あふれた書類をひっくり返して探したり、収納できなくなってから一気に捨てたりするような事態に陥ることはありません。

 記憶に基づいて収納されているのではなく、ひとつの決められたルールに基づいて、収納場所と捨てる時期が決められているので、思いつきで移動したり、場所が変わったりすることもありません。

 もし変わるとしても、それはファイル管理表に反映されます。もっともよく使う人が覚える必要もありませんし、周りの人でも探せます。

 ファイリングがうまく回っていれば書類をあわてて探し回るなどと言う事態に陥ることもまずありません。もしあったとしても、他の書類の位置をどかさないと目的の書類が出せないような収納方法はしませんので、連鎖的に別の書類を紛失したり、収納場所が分からなくなったりすることもなくなるのです。

 

【効果を体感しよう】

 いかがですか?決まり通りに収納され、取りたい物がダイレクトに取れる状態。

 「ファイリングって、意外とイイねぇ」

 そう感じつつも、それは表に出さず、当たり前のように次の作業に取り掛かります。

 パズルのピースがはまった時のような、気持ちよさを感じながら。

 できない子のままオトナになってしまった僕が、遅ればせながら整理整頓に気を遣うようになった最大の要因は、探すときのラクさ、楽しさを味わってしまったからに他なりません。

 皆さんも、味わってみてください。仕事のしかたが変わると思いますよ。