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言う必要のないことは言わない (新事業の話-4)

言う必要のないことは言わない (新事業の話-4)

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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時間がないのでtwitterレベルの短いお話。

いよいよ新社長が新会社の定款を作って持ってきた。

やはり事業内容のところで、いろいろ悩んでしまったようだ。

一部上場会社のコーポレートサイトにあった定款を見て、「なるほど、こんな風にしっかり書くものなのかー」と思ったようで、それを真似して彼も6つも7つも、将来に渡って考えられるありとあらゆる事業内容を書いてきた。

ショージキ言って、意味ない。

上場会社と違って閉鎖的な私企業は、ステークホルダーが少ない。

株主は入れ替わらない。取引先は、定款を取り寄せて事業内容を確認するなんてことはしない。コンシューマ向けサービスを展開するのであっても、お客さんが目にするのは利用規約であって定款ではない。(*1)

強いて言えば、金融機関に頼ることがあると、彼らは定款の内容をよく読む。

その時やってもいない事業が書かれていると、説明するのが大変だ。

だから、こんなのは抽象的でかつ少ないに越したことはない。(*2)

そもそもなのだが、経営者は言う必要のないことは何も言うべきではない。

カイジ的な話だけど、誰にも説明責任などないし、他人はそれを知る権利もない。

どうしても言わなければならないことは言うが、そうでなければ原則として何も言わない。

経営者というか、大人はみんなそうだ。

言葉を尽くして、「自分はこんなことを考えてるんです」と言ったところで、ほとんどの人は関心を持たないし、レアな聞いてくれる人は「へえそう」で終わるし、悪い人にはつけこまれる。


、、、と、言わなくてもいいことをぺらぺらしゃべっている私はなんなのか、という話はあるのだが。


(*1)気になって調べたところ、そもそも株主かまたは融資をお願いする金融機関以外、定款は見ることができませんでしたね。でも全部事項証明書は誰でも見ることができて、そこに事業の目的が表示されますから同じこと。

(*2)司法書士などのHPにはなるべく具体的に書いた方がいい、とあるが、それは経営者の利益と相反する。経営者的にはなるべく約束事は曖昧にしておいて、いつでも簡単に事業を転換できるようにしておいた方がいい。定款や登記内容の変更にはお金がかかる。


(新事業の話-バックナンバー)

初めての営業 (新事業の話-6)

会社を作ったらまっさきに目指すべきもの (新事業の話-5)

言う必要のないことは言わない (新事業の話-4)

持ち株比率の件 (新事業の話-3)

会社設立手続きと初めての社員 (新事業の話-2)

損益分岐点分析とコスト予測の話 (新事業の話-1)