ある PhD Student の一週間
»2012年1月29日
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ある PhD Student の一週間
一橋大学イノベーション研究センター特任助手。技術開発の社会構築性やイノベーションの科学的源泉を主な研究テーマに、半導体レーザーやバイオスタートアップ、ライフサイエンス産業のことを日々研究しています。
このエントリは、ある PhD Student の一週間を淡々と日記にしたためたものです。
気づきや学びなどはありません。過度な期待はしないでください。
2012/1/23 (月曜日)
11:30 に時事通信ホールに到着。今日は財団法人フィランソロピー協会の20周年記念フォーラムのお手伝い。お世話になっている加勢川さんや事務局長の高橋さんを見かけるが、お忙しそうにしていたのでロビーでメールチェックする。その後ご挨拶しランチをご一緒する。
記念フォーラムの主な内容では、現在の福島や宮城の様子に関するレポートが印象に残る。ショックを受けたのは、義援金や支援金を得た漁師のみなさんが「新規開店」のパチンコ屋に朝から行列を作っているというお話。お金があっても、漁船や地引網が無ければ仕事はできない。3.11 以後いろいろな「絆ビジネス」が生まれたけれど、果たしてどのくらいモノと人と情報をつなぐビジネスは生まれているのだろうか。フォーラムのあとはディナー。福島県産の郷土料理をもりもりと食べる。「のづゆ」という料理が特に美味でした。
2012/1/24 (火曜日)
明日の出張の準備をする予定が、雪で学校に行けず。仕方ないので、お昼は歯医者に。やはり30近くなると体にガタがくるのかもしれない。とりあえずは虫歯の治療をしてもらって、来週親知らずを抜くことに。
午後2時から Visiting Professor と共同プロジェクトの打ち合わせを大学にある彼のオフィスで行う。「最近はドイツみたいな天気が東京も続いているねえ」とは彼の弁。作成したデータをみながら、あれこれとディスカッションをする。文科省の方が言っていた気がするけど、やはり英語のほうがディスカッションはしやすい気がする。その後、明日の出張用に必要なデータ分析や論文のサーベイをそのまま大学の研究室で。
2012/1/25 (水曜日)
午前中に家を出発し、羽田空港へ。海外の学会に行くときは成田が多いけれど、やはり羽田は近くて便利。パソコンを持っていくために用意した小さなスーツケースを保安検査場に通し、ベルトを外し、また取り付け、12:00 出発の伊丹空港行き ANA 便に乗り込む。
最近、ようやく飛行機のなかでの最適行動は寝ることだとわかってきた。 しかし今日の出張の目的は研究調査のためのヒヤリング。質問事項リストや、作成したデータ分析の結果、関連する論文のリストなどに目を通す。CA さんにアップルジュースとお茶をもらう。歯にしみないのが嬉しい。
予定通り13:10 分に到着。一年ぶりぐらいに来た大阪。別に市長が変わっても景色は何も変わっていない気がする (当たり前だけど)。モノレールに乗り込み、目当てのキャンパスがある最寄りの駅まで。お昼ごはんはそこの大学病院で食べる。大学病院の中にスターバックスがあってびっくり。Wifi もつながるのでびっくり (なんで携帯電話は駄目で Wifi はOK なんだろう?)。 錦織の試合を待合室の大きなテレビで観ながら、質問事項のチェックや明日のプレゼンの準備を行う。そんなことをしている間に同席して頂くO先生が到着。
夕方、ヒヤリング調査を開始。お相手は、現在僕が研究している医薬品の研究開発過程で、その作用機序の発見に大きな役割を果たしたA先生。結局、事前の質問リストはあくまでリストのままで、当時の研究開発体制や組織の変遷、発見の経緯などをお聞きすることができた。オープンイノベーションやセレンディピティなんて形容詞でまとめられ、一言で片付けられてしまう事象と事象との間のインバランスには、埋めなければならないたくさんのハードルがあって、そうしたハードルを飛び越えられたものだけが、世の中に大きな影響を与えるイノベーションとして生き残っている。この仕事をしていて面白いのは、こういうデータと物語の隙間にある事実から新しい発見が見いだせるときだと思う。その後、A先生の運転で神戸へ。
神戸には二年間大学生として暮らしていた。もちろん車は持っていなかったから、六甲山ハイウェイは始めて通った気がする。神戸に到着し、夕食をいただく。王子公園のそばにあるお好み焼き屋兼鉄板焼き屋さん。店員さんのフランクさは、東京では味わえない雰囲気。ここでもいろいろなお話をお伺いする。
O先生とA先生と別れ、ホテルには22:30 ごろ到着。チェックインをして、久しぶりにサンテレビを観る。明日は午前中と午後ひとつずつ発表があるので、その準備をホテルの部屋で淡々と行う。3時間は眠るつもりだったけれど、結局準備が終わったのは午前5時。6時には起きるつもりだったので、とりあえずベッドに体を横たえる・・・
2012/1/26 (木)
結局朝まで起きていた。大学で研究発表があるので、朝6時過ぎにホテルをチェックアウトし歩いて三宮駅へ。大学時代はこのあたりをよくうろうろしていたっけ。それにしても、寒い。昨日夜の神戸は気温1度だったとのこと。モノレールに乗り、神戸空港へ。やけにロビーが混んでいるのは、新幹線が雪で遅延している影響らしい。7:20 分のスカイマーク便に乗り込み、一時間ほど仮眠を取る。目が次に開いたのは羽田空港の滑走路に飛行機が滑りこむ所だった。
大学へ行き、一つ目の発表を行う会議室へ。15分程度の簡単な発表だけれど、今の研究のエッセンスは伝えられたかなと思う。研究が政策提言に至るまでには、ステークホルダー間による長いプロセスとたくさんの不理解といろんなミスコミュニケーションがあって、僕は研究者という立場で現在のプロジェクトに関与しているわけだけど、どうにかもう少し相互理解というものが出来たらいいのにはと思う。発表が終わり、研究室でメールチェックと次の発表の準備を行う。
午後3時から、去年新しく出来た研究棟で今日2つ目の発表をする。テーマは「PhD Student 生活について」。大学のキャリア支援課からの要請で登壇したのだけれど、残念ながら聴講者は少なかった。どうやら修士課程の試験日程とオーバーラップしてて、あまり参加できる人がいなかったみたい。会社で働いていた時との比較や、研究の進め方や、キャリアの進め方の話をした。誰かの役に立てばよいのだけど。午後5時に終了。
米倉先生のMBA講義を聴講するつもりだったけど、間に合わなかったので研究室でちょっとだけ仕事を片付けて、家に帰る。
2012/1/27 (金)
午前中は眠る。寝る前に観たキルミーベイベーは面白かったな。
今日はアイティメディアさんへ行き、ONETOPI というサービスについてキュレーターとしてのグループインタビューを受ける。
あまり真面目にやっていないので、怒られるのではないかとヒヤヒヤしていたが、実際は別の話だった。ネットサービスのマネタイズ化って、未だにネットワーク外部性と規模の経済性をどれだけ作れるかの争いだよなあなんてことを思う。その後はONETOPI キュレーターズミーティングに参加。同じ Beatles キュレーターの松尾さんと、「あのTシャツ (以下略」 なんていう話をする。IT 乙女さんにも久しぶりにあえてうれしかった。
2012/1/28 (土)
朝から研究会なので学校へ。ドイツに出張していたN先生はいつもとかわらない様子だった。僕は大阪に行き帰りしたぐらいでグロッキーなのに、なんてタフなひとなんだろうか。先輩の発表をふたつ聞き、午後は研究室で仕事を片付ける。Brian Arthur の本を Kindle で購入する。
16:00 ごろ赤坂に到着。一週間のご褒美ではないけれど、七尾旅人さんの百人組手コンサートを最後列で観る。ほんとうに貧弱な表現しかできないのだけれど、凄いと思ったのは大友良英さんが主催する PROJECT FUKUSHIMA のオーケストラ FUKUSHIMA! だった。打楽器が打ち鳴ると人間は気分が高揚すること、音楽は身近にあるものを振ったり叩くことではじまること、技能や理論はあくまで伝達を容易にするための手段のひとつであり目的ではないこと、そして、、目的が明確な音は心を確実にノックすること・・・ 3.11 や福島を巡る現在の状況に関係なく、ただ素晴らしい音がそこにはあって、僕にとってはそれがすごく感動的だった。もちろん、CHARA さんのあいのうた (人生Best3 の名曲) や ZAZEN BOYS の COLD BEAT や、最初の「圏内の歌」も最高だった。さすがに、4時間半は太ももがパンパンになったけど。
家に戻り、長渕剛の熱唱を観て、偽物語とひだまりスケッチベストセレクションを観て眠る。
2012/1/29 (日)
朝10時から渋谷へ。とある別プロジェクトの定例会議に参加する。仕上がってきたものに驚く。細部をチェックしながら、今後のマイルストーンなどについてディスカッションし解散。そして、夕方この一週間のことを書いておこうと思いたち、誠ブログに書く。
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